日本のFinTech促進の鍵に--2600以上の金融データを網羅する「MT LINK」の正体

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オープンAPIに対する取り組みは日本が世界よりも先行している

――6月21日からオーストラリアでのサービスを開始しましたが、MT LINKの海外展開について教えてください。

マクダッド氏 現時点では特に決まっておりませんが、まずはプラットフォームとして品質向上を目指します。オーストラリアにも日本と同じ基盤を設置しますが、APECでは個人情報保護を目的にCBPR(Cross Border Privacy Rules: 越境プライバシールール)を定めているため、データレジデンシー(データの保管場所)も重視してきました。MT LINKの基盤はFISC(The Center for Financial Industry Information Systems: 金融情報システムセンター)の基準をクリアしたAWS上で運用し、日本プライバシー認証機構のTRUSTeを取得しています。

チャップマン氏 22日に金融庁とASIC(オーストラリア証券投資委員会)がFinTechに関する協力枠組みを発表しましたが、(MT LINKのサービス開始翌日に発表されたのは)偶然です。ただ、追い風を感じました。オーストラリアの大手銀行は高い市場シェアを持ち、大手4行で9割を占めていますが、オープンAPIに抵抗感があります。しかし、オーストラリアの市場全体は新技術に対して好意的で、ミレニアム世代も日本の10%に対して22%と多く、若者の影響力に期待を持っています。

――オーストラリアではFinTechが盛況のようですが、進出する上でMT LINKの強みはどういったところにあるのでしょうか。

チャップマン氏 私が見る限りオーストラリアのFinTechブームは2~3年前から始まりましたが、我々は2012年に起業しましたので、FinTechに関する学習は一歩進んでいます。また、日本はFinTech分野で遅れているように見えますが、先行している部分も少なくありません。例えば、APIなど大手金融機関との協業はオーストラリアよりも先んじています。日本市場の知見をそのままオーストラリアに持ち込むことはできませんが、共通点が多いため応用は可能だと考えています。

――日本での知見が武器になるということでしょうか。

チャップマン氏 オーストラリアでの会合で話を聞いても、まだ五合目といった場面は少なくありません。また、弊社はスタートアップとしては資本金も増加傾向にあり、オーストラリアのFinTech企業よりも強く立ち回れます。投資家に評価される理由としては、プライバシーに対する立ち位置が独自だからでしょう。一部のデータ販売事業社のように名前などを隠して顧客データを販売することは一切しません。それよりも大きな市場と未来図があります。

――オーストラリアには日本のFinTech企業が受け入れられる土壌があると。

チャップマン氏 答えはイエスです。ただし、UX(ユーザー体験)など好みに差があるため、そのまま持ち込んでもガラパゴス化が起きかねません。オーストラリアはオープンデータ自体に抵抗感があるため、日本の成功事例や実績があれば、利用してみようと考える方も増えると思います。オープンAPIに対する取り組みは日本の方が進んでいるように感じました。オーストラリアは、欧州が銀行や財務、決済サービスにおける多要素認証義務化を定めたPSD2(Payment Service Provider 2: 決済サービス指令)を参考にしています。日本が"APIの道場"として実験や研究、そして実績を積み上げれば道は広がります。

オープンAPI普及は協会活動が鍵

――金融機関におけるオープンAPI整備の見通しはいかがですか。


マネーツリー
常務取締役
マーク マクダッド氏

チャップマン氏 銀行系なら10年後は100%対応できると思いますが、クレジットカード業界は若干遅れています。また、ポイントカード運営会社がAPIを提供するかも分かりません。そのため、スクレイピング(ウェブサイトから情報を抽出する技術)は今後も生き残るでしょう。

マクダッド氏 リスク評価の観点から見れば、参照系APIは個人情報漏洩や銀行の風評低下にとどまりますが、口座預金を動かせる更新系APIでは不正利用などのリスクが発生しかねません。しかし、現状は(問題発生時に)誰が責任を負うか整理されていない状態です。

――どのように解決すべきでしょうか。

マクダッド氏 私が理事を務めているFinTech協会では資料を公開していますので、議論はこれから始まるでしょう。個人的見解ですが銀行は事例をほしがっているように感じます。しかし、FinTech企業側としてはビジネスアイディアを隠したいため、リスクを議論する場に情報を出すことは多くありません。そのためFinTech協会としても近日中に新しい試みを行う予定です。

――仮想通貨についてはいかがですか。

マクダッド氏 問い合わせは増えていますが未対応です。APIを公開してくれれば是非対応したいものの、あくまでも開発の優先順位は利用者の需要です。我々の顧客に対するメリットにつながれば、対応を拡大していきます。

チャップマン氏 我々は「プレイヤーではなくユーザー中心」を念頭に置いています。もちろんB2Bも重視しますが、世の中に革新を生み出すソフトウェアをパートナーシップ精神で作り上げようとしてきました。利用者のメリットにつながることを目指します。

――最後に、マネーツリーの目標を教えてください。

チャップマン氏 プラットフォームを成功させることです。今は23社(※1)と提携していますが、国内の金融機関は3000社以上あると言われていますので、もっと提携を拡充する予定です。私たちは、どういったニーズがあるかパートナー企業とともに失敗しながらも仮説検証を繰り返すことで、今のサービスを構築してきました。また、日本で進化させた他国にないビジネスコンセプトの輸出も広げていきたいですね。今後は、オーストラリア以外での海外展開もビジョンの1つとなります。

※1 : 2017年6月29日時点の数字となります。

提供:マネーツリー株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2017年9月30日

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