9月25日、世界中のインターネットにおけるフロントランナーや各分野の有識者といったキーパーソンを集めて、ウェブの未来を論じるカンファレンス「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2007」が、東京恵比寿のウェスティンホテル東京を会場に開催された。
THE NEW CONTEXT CONFERENCEは2006年、特定非営利活動法人のクリエイティブ・コモンズやMozilla財団などの中心人物が登壇し、話題となった。第2回となる今回のテーマは「The User`s Web」(ユーザーが創る新しいウェブの世界)と「Web Visionaries」(Webの未来を創る先駆者達)。
初日の25日に行われたセッション「デジタルシネマとゲームの未来」では、アートや映画、ゲームといったエンターテインメントの分野でインターネットを先駆的に活用している事例が紹介された。
映画分野からは南カリフォルニア大学シネマ・アート・スクール教授のScott Fisher氏、ドメインネーム戦争の当事者となったアーティスト集団etoy.comのMONOROM氏、SILVAN氏の2人、メッセージングプロバイダーであるOutblazeを率いるYat Siu氏、慶應義塾大学環境情報学部教授の稲蔭正彦の5人。司会をデジタルガレージ共同創業者で取締役の伊藤穰一氏が務めた。
Scott Fisher氏は南カリフォルニア大学シネマ・アート・スクールのインタラクティブメディア部門において、Electronic Artsの助成を受けゲームイノベーションラボという研究施設を持っている。ゲーム開発の成果として、アーティストのビル・ヴィオラ氏の協力で制作した「The Night Journey」など、学生が開発したいくつかの作品を紹介した。
白昼夢をヒントに制作した「Cloud」は4カ月で50万ダウンロード、1年を経て200万ダウンロードに達した。2006年春に完成し、2007年にはPLAYSTATION 3でもオンライン配信され、北米で最もダウンロードされた「flOw」というゲームもある。また、BitTorrentのノードを可視化し、著作権違反の作品が流通していないかをチェックできるゲーム「Torrent Raiders」といった例もある。このように学生の作品が実際にビジネスに繋がっている事例が出てきている。このほかライフログのようなプロジェクトも紹介された。
OutblazeのYat Siu氏はグループ企業であるTYPHOON GAMESの代表として発言した。TYPHOON GAMES社は香港を拠点にさまざまなゲームを開発し、販売している企業で、最近ではサンリオと協業し、サンリオのキャラクターをデジタルコンテンツとして活用するビジネスを進めている。
Siu氏はビジネス観点からのゲーム、エンターテインメントの業界に対する考え方として「予算の制約の中で何をするかが重要だ。クールすぎ、エキセントリックすぎる人が作ると格好良すぎてしまう(のでビジネスになりにくい)。バランスをとる必要がある」と述べた。さらに同社の成功例としてadidasがスポンサーとなった無料のオンラインサッカーゲーム「Impossible Team Online Game」を挙げ、「World Cupを題材にしたオンラインゲームで、予算は限られていたが、ゲーム機を必要とせずに、数十万人がプレイした」と紹介した。
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