本機を利用する上での一番気になる部分、騒音抑圧機能ですが、前段でも触れたとおり、マイク側で集めた音の中から、発話の音声に関するものだけを拾って、通話の相手側に綺麗な音を伝えるものとなっています。つまり、本製品は通話の際の相手側(聞き手側)にメリットのある製品になります。
そもそも本製品自体が、例えば騒音の激しい戦車の中との通信によるコミュニケーションをいかにクリアに行うか、といった課題を解決するために開発された米DARPA(国防高等研究計画庁)の技術を活用したものであり、それが本製品の特徴に直結していると言えます。
その騒音を低減する仕組みですが、イヤホンと一体化している頬骨の振動を読み取る機構にポイントがあります。つまり、発話の際の頬骨の振動をこの装置で拾い、そのデータを元に、マイクから入ってくる発話の音声と、発話に関連しない周囲の騒音を峻別して、発話の音声だけを相手側に送信するものとなっています。このため、より効果的に発話の音声だけを拾うことができるわけです。
今回本製品のレビューを書くためには、本製品の特徴上自分1人で使ってみるわけにもいかず、私の妻に協力してもらって、Skypeを利用して試してみました。
そもそも自宅だと騒音のある通話環境というものがあまりないため、発話側のそばでテレビを大きな音でつけながら、相手側でこれを聴くという形で試してみましたが、確かに騒音低減機構のスイッチを入れた時と入れない時では、テレビの音声がかなり小さくなり、通話音声がはっきりと聞こえるという形で、その音質に大きな違いを確認することができました。これは妻も同様の感想だったので、一般的に見てもかなり騒音低減効果があるのではないかと思われます。
ただ本製品の利用が難しいのは、やはりPCをメインの利用環境としたその設計でしょう。PCで通話する場合の周辺環境はそもそも静かなことが多いでしょうから、本製品を利用する意義のあるシーンは限られてしまっています。例えば多くの人が話しているコールセンターや、モバイルでの利用であれば本製品のメリットを十分享受できるでしょう。
本製品の開発元がアメリカであることが製品仕様に大きな影響を及ぼしていると思われますが、例えば携帯電話でも本製品がストレスなく利用できるようになれば、例えば電車のホームでの通話や、都会の雑踏での通話、風の強いところでの通話など、今まで携帯電話では聞こえにくいと言われていた環境でもきれいに話すことができ、製品の利用意義が高まるのではないかと思います。
そういった日本での製品の発展を期待して、今回もキビシ目の採点だとも思いますが、普通の3つ星(満点は5つ星)を贈呈したいと思います(携帯への対応が普通にできるようになるのと、サイズがもう少し小さくなるのであれば、ほとんど不満ない状態になるんですけどね)。この製品は、実際に音を聴かないとその魅力が伝わりにくいと思います。気になる人は、メーカーサイトのデモページをどうぞ!
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