キヤノンは8月26日、初心者だが本格的なカメラを求める趣味層をメインターゲットにしたデジタル一眼レフカメラ「EOS 60D」を発表した。9月中旬に発売する。価格はオープンで、市場想定価格はボディ単体が13万円前後、EF-S18-55ISレンズキットが14万円前後、EF-S18-135ISレンズキットが17万円前後の見込み。
EOS 60Dは、EOSシリーズとして初となるワイド3.0型のバリアングルクリアビュー液晶モニタを搭載。横開きタイプのモニタで、三脚使用時や通常の撮影時に自由度の高いアングル撮影が可能になる。液晶は約104万ドットで、視野角は170度、反射防止コーティングが施されている。
約1800万画素のCMOSセンサ(APS-Cサイズ)と映像処理エンジンDIGIC4を搭載し、常用ISO感度は100〜6400。拡張時には1万2600まで対応する。最高約5.3コマ/秒の連写が可能だ。記録メディアはSD/SDHC/SDXCカード。ストロボを内蔵している。フルHD動画を撮影できるほか、「ふんわりやわらかく」「くっきり鮮やかに」といったイメージを選択するだけで写真の雰囲気を設定ができる表現セレクト機能やアートフィルタ機能を備える。
キヤノンの入門向けのデジタル一眼レフカメラとしては、ファミリー層をターゲットにし、小型軽量化を追求したEOS Kissシリーズがある。EOS 60Dも同様に入門者向けだが、Kissシリーズよりもワンランク上のカメラを求める層に向けた「ネオスタンダード機」と位置付ける。
キヤノンの調査によれば、デジタル一眼の購入者のうち大半は新規購入だという。購入動機でもっとも多いのは「子供の成長記録」で、次に多いのが「趣味として始めたい」というもの。「EOS 5D Mark II」などのミドルクラスのカメラでは「趣味として始めたい」が購入動機のトップだとして、「写真を始めるならちょっといいカメラで始めたい」というミドルクラスとエントリークラスの間の新たな層を獲得したい考えだ。
EOS 60Dは、EOS 5D Mark IIよりも一回り程度コンパクトになっている。素材をマグネシウム合金からプラスチック素材に変えて軽量化し、グリップ感などは同様にしっかりとしたものに仕上げたという。
国内における2010年のデジタルカメラ市場は、リーマンショックの影響で落ち込んだ2009年から前年比106%となる1030万台に回復するという。中でもデジタル一眼市場は大きく伸び、131%増の140万台になる見通し。その牽引役となるのがミラーレスの一眼カメラだ。
キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏は、「ミラーレスが3割を占めてくる」と言う。キヤノンの調査によれば、ミラーレスの一眼カメラを除いた伸び率は前年比104%で104万台と見る。
「一瞬のタイミングを逃さない俊敏さや完成度が本来の一眼レフならではの特長。これは、趣味としての写真をちゃんと撮りたいと思っている人にはおろそかにはできないポイント」(川崎氏)と語り、一眼レフの品質のよさを強調した。
一眼レフの伸びに伴い、交換レンズの販売が好調だという。近年では、EOS 5D Mark IIで撮影したドラマが地上派で放映されるなど、ハイビジョンでの動画撮影が注目を浴びており、その影響が大きいという。2008年ごろから大きく伸びており、2009年は前年同期比で104%、2010年は前年同期比で115%増という。中でも、好調なのはキヤノンのミドルクラスレンズとなる「Lレンズ」で、2010年は前年同期比136%という。
今回、4種類の新交換レンズと2種類のエクステンダーが発表された。ラインアップと価格は下記のとおり。
製品名 | 価格 | 発売日 |
---|---|---|
EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM | 15万7500円 | 2011年1月 |
EF70-300mm F4-5.6L IS USM | 16万5900円 | 11月 |
EF300mm F2.8L IS II USM | 78万7500円 | 12月 |
EF400mm F2.8L IS II USM | 131万2500円 | 12月 |
エクステンダー EF1.4×III | 5万7750円 | 12月 |
エクステンダー EF2×III | 5万7750円 | 12月 |
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