東芝は11月29日、ASEAN諸国に向けた2011年度の映像事業戦略を発表した。バッテリ搭載液晶テレビなどの投入より、ASEAN地域で2011年度に120万台、シェア20%を目指す。
東芝ビジュアルプロダクツ社社長の大角正明氏は「世界の液晶テレビ市場において、新興国における成長は著しい。2011年、国内の液晶テレビ需要の落ち込みをASEAN地域への販売でカバーしていきたい」と期待を寄せる。
東芝では、ASEAN地域の液晶テレビ需要を2010年度に470万台、2011年度に620万台、2012年度に700万台と予測。大角氏は「これはかなりコンサバな見方だ。2012年度には1000万台という可能性もある」と述べた。
具体的な施策として発表されたのは、(1)シンガポールにアジアヘッドクオーターを設立、(2)豊富なラインアップ展開、(3)高付加価値モデルの積極投入、(4)新興国市場にマッチした商品開発――の4点。新興国向けのラインアップを、シリーズ数で2010年の5から2011年は9へ拡大するほか、モデル数を同10から17へ、24インチ、32インチモデルを同4から10へと拡充する。
商品では、「Power TV(パワーテレビ)シリーズ」を展開するとのこと。これは、停電や弱電界地域が存在するというアジア地域の特性を配慮したシリーズで、全機種に弱電界でも受信しやすい「パワーブースター」を内蔵。スタンダードモデルの「PB1」シリーズ、LEDバックライトにより消費電力を抑えた「PS1」シリーズ、LEDバックライトの採用と、バッテリを内蔵することで停電時でもテレビを視聴できる「PC1」シリーズと、3シリーズ7機種をそろえる。
東芝によるとバッテリを搭載した液晶テレビは世界初としている。停電時には、バッテリからの電源供給に切り替えることで最大2時間の視聴が可能だ。
販売予想価格はPB1の24インチで約190ドル、32インチで約300ドル。上位機種のPC1はこの価格に約100ドル上乗せした程度で販売するとしている。「190ドルという価格は戦略的なもの。現在21インチのブラウン管テレビを150ドル程度で販売しており、それに合わせたかった。その価格よりも上回る形になったが、何としても200ドルを切りたかった」(大角氏)と話す。
加えて、東芝のハイエンドテレビ「CELLレグザ」のコンセプトを受け継いだ55インチモデル「55CZ800」も販売する。55CZ800は、3D対応テレビで、2D3D変換機能を搭載する。映像エンジンには新開発の「CEVO ENGINE(シーボ・エンジン)」、パネルには「メガLEDパネル」を採用するとのこと。画面サイズは55インチのみ。販売予想価格については「3000ドル程度で検討中」(大角氏)とした。
このほか、北欧のデザイナーであるヤコブ・イェンセンとのコラボレーションモデルである「WLシリーズ」も追加する。
生産は、ジャカルタ工場をベースに展開にするとのこと。ジャカルタ工場では11月より生産を開始しており、今後は現在の6ライン体制を8ラインへと増強するなどの設備投資を実施するとしている。
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