VAIOの新モデルはプレーヤー?--家中がジュークボックスになる「VGF-WA1」 - (page 3)

ソニー
内容:MP3やATRACなど圧縮音源の登場により、音楽はPCで聴くというスタイルが定着してきた。自宅ではPCで、外出先ではプレーヤーでという現在の視聴スタイルをさらに進化させるのが、この「VGF-WA1」だ。PC内の音源をこのスピーカーでどこからでも呼び出せる、というミュージックロケーションフリーマシンを徹底チェック。

多彩な補正機能で好みの音質をチェック

 気になる音質をチェックしてみよう。本機には8cmのフルレンジスピーカーが2個内蔵されている。出力はAC電源を接続した状態で8W+8W、内蔵バッテリでの駆動時は4W+4Wでの再生が可能だ。

  • 設定→再生モードから音場補正が行える。そのほかスリープモードなどもここから選択する

 サイズの割にしっかりとした音で鳴るものの、一つのスピーカーで高音から低音までまかなうフルレンジスピーカーの音質には限界があるのも事実。すべての音がまとまって鳴ってしまい、音質レベルとしては同サイズのラジカセ程度と認識したい。

 ただしそれらの特性を補うために、いくつかの補正回路が備わっている。ノーマル再生ではステレオ再生による広がりがないのだが、「VPTワイドステレオ」機能を使うと、本体が一回り大きくなったような臨場感が出る。若干中央部の音がスカスカになるが、ライブなどはこちらの方が迫力は出そうだ。

  • 音場補正モード。低音増強のための「バスブースト」など豊富に揃っている

 「デジタルリニアフェーズ」機能は、スピーカーの中高域の特性を補正して楽器やヴォーカルの定位感や、奥行きを出して再生する。ポップスやジャズ向けなど雰囲気の異なる3タイプから選んで設定できる。この機能を使うと、ぼんやりとしたサウンドが、急にメリハリがついて聴きやすくなる。筆者のお薦めの機能ではあるが、残念なことに前述した「VPTワイドステレオ」とは排他的な関係にある、どちらかを選択しなければならない。

  • お気に入りの曲を本体に保存すればパソコンの電源を切っていても音楽が楽しめる

 本機には128Mバイトのメモリが内蔵されており、パソコンから楽曲をダウンロードして本体に保存できる。操作方法はダウンロードしたい曲の再生中に本体のダウンロードボタンを押せば、そのまま本体のメモリに記録される。

 時間は1曲当たり数10秒かかる。128Mバイトというメモリ容量を考えると用途に困るが、カラオケの練習用に2、3曲を連続して聴きたいというニーズには向いているだろう。

オーディオ環境をワイヤレスにする意欲的な製品

 意欲的な製品であることは認めるし、内蔵バッテリーだけで約4時間の再生ができる使い勝手の良さも魅力的だ。マニアックなパソコンユーザーの物欲をくすぐるには、十分な製品になっている。しかし、操作系などのインターフェースは難あり。

 ワイヤレス機能がフルセットでついて実売価格が3万円台半ばというのは、かなりお値打ちだと筆者は感じる。音質について不満を書いたが、単なるパソコンの周辺機器と考えるなら、お釣りが来るぐらいのクオリティだ。

 しかし、あえてこの手の商品を開発するなら、もう少しコストアップしてでも、オーディオ機器として満足できる仕上がりにしてほしかった。

 本体サイズを大きくして高性能のトゥイーターを入れる、本体の表示をカラー液晶にするなどの改善することによって、満足度はかなりアップするだろう。

 ただし、本機のコンセプト自体はすばらしいものだと思うので、ワイヤレスオーディオ環境を整えないという人向きの製品だ。

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