宛先:Apple最高経営責任者(CEO)Steve Jobs様
差出人:米CNET News、Greg Sandoval
件名:DRMフリー楽曲の入手について
このところの「iTunes」ミュージックライブラリはいまいちだ。あなたには状況をよく考えてみてほしい。iTunesはデジタル著作権管理(DRM)付きのダウンロードにとって最後の大規模な避難場所になっている。これが、Appleに対してあなたが求めるイメージなのだろうか。
あなたが大手レコード会社とコピー保護されていない音楽ソフトウェアを入手する唯一の契約を締結してから、18カ月以上たっている。しかも、その契約の相手は4大レコード会社の中で最小のEMIで、米国のアルバム販売の9%未満しか占めていない。その間、主なライバルがすでにすべての大手レコード会社とDRMフリーの音楽販売契約を締結したというのに、Appleは同社独自のデジタル著作権管理ソフトウェア「Fairplay」で大手レコード会社の楽曲の大半を保護してきた。
このような立場に固執すれば、iTunesは、Appleがいつもコマーシャルでからかっている「PCガイ」よりもおもしろみのないものになるだろう。「Zune」は、EMI、Warner Music Group、そして先週、レコード会社の最大手であるUniversal Music Groupと契約を締結し、iTunesよりも多くのDRMフリーの楽曲を提供している。DRMは、流行の最先端にいるすべてのインターネットユーザーに毛嫌いされている(その多くはApple製品に忠誠を誓っているにもかかわらずだ)。そろそろ、このDRMという敗者を見捨てるときが来た。大手レコード会社でさえ、すでにこのことを認識している。それについては、また後で述べることにしよう。
今が、Appleが物事をただす絶好の機会だ。筆者は、Appleが、コピー保護ソフトウェアから開放された楽曲の入手について、大手レコード会社3社と協議しているとの話を耳にしている。情報筋によれば、取引はまだまとまっていないが、1社とはまもなく合意するということだった。
契約をまとめてほしい。すべてのレコード会社とだ。言うまでもないことだが、これらの契約が締結されれば、Appleとレコード業界、そしてもちろん、Appleの顧客にとってもすばらしいことだ。
契約の締結には双方の合意が必要なことは承知している。しかし、Appleと音楽業界は、あなたが2007年2月に有名な公開書簡を発表して以来1年以上にわたって、iTunesにDRMフリーの楽曲がないことについて責任のなすり合いをしてきた。書簡では、あなたはレコード会社にDRMの放棄を呼びかけていた。音楽業界の幹部がこれを笑い、あなたの主張が少々不誠実だと言っていたことは、あなたもご存知だろう。彼らは、AppleのDRMは、消費者がApple製デバイスでしか再生できない音楽を買わざるを得ないようにする計画にうってつけだと述べていた。
筆者が今から述べる主張は、Appleの顧客の意見を代弁していると思う。顧客は誰に責任があるか気に掛けてはいない。彼らが本当に問題にしているのは、そろそろ書簡を書く以上のことをすべきだということだ。あなたは、今が行動すべき絶好のタイミングであることを認識しなければならない。あの書簡を書いてから、デジタル音楽を取り巻く環境は大きく変化している。今では、レコード会社はDRM戦略が失敗したことを認めている。
Warner Music GroupのトップであるEdgar Bronfman氏が11月初めに述べた、「私たちは技術企業ではない。(中略)最後まで、私たちが求めていたことを実現するDRMを考え出すことはできなかった」という発言を確認してほしい。
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