ad:tech London 2008にみる英国インタラクティブ・エージェンシー最前線(前編)

 ネット広告が米国や日本よりも先行するロンドンで開催されたad:tech2008から、日本のネット広告の未来とそこで活躍するインタラクティブ・エージェンシーのビジネススタイルが見えてきた。

 コンテンツ・キャピタル・デザイン・カンパニーのTHINK インタラクティブ・カンパニー・プロデューサーである牛山隆信氏がレポートする。

ロンドンのインタラクティブ・エージェンシーが熱い

 Phil Collinsが歌う「In The Air Tonight」が流れる中、瞳を閉じて物想いにふけるゴリラ。曲の盛り上がりに合わせてゴリラがドラムを叩き始め……。見終わった後、思わずもう一度再生ボタンをクリックしてしまうほどのインパクト。

 これは、今年度のカンヌ国際広告祭でグランプリを獲得したCadbury社のDaily MilkチョコレートのCMだ。テレビでよりもYouTubeなどインターネット上で話題となったこの作品は、英国インタラクティブ・エージェンシーfallonが企画・制作、そしてインターネットを核とした流通までをデザインした。

 ネットといえば米国西海岸という印象が強いが、ブロードバンドの普及が一段落し、テクノロジは当然として、加えてクリエイティブと戦略とのブレンドの必要性が高まってきた今、クリエイティブ・エージェンシーがそもそも強かった英国の広告業界の存在感が俄然強まりつつある。

 そこで、9月24日、25日に英国ロンドンで開催されたad:tech Londonで見る広告ビジネスの新潮流について2回に分けてレポートしてみたい。

*本レポートは、宣伝会議社主催のad:tech Londonおよびロンドンのクリエイティブ・インタラクティブエージェンシー6社を巡る視察研修への参加をもとにしたものです。

全世界で開催されている『ad:tech』

 まず、今回参加したad:techとはどんなイベントなのかを、お伝えしたい。

 ad:techは現在、ネット関連のイベントを数多く手がけるiMedia Connectionが主催する世界最大のデジタルマーケティングのカンファレンスだ。90年代後半から開催され、現在は1年間に世界11都市で開催されるほど大規模なものになっている。

 ターゲットとされる参加者は、主に下記の4つの企業の関係者だ。

1)広告主
2)TV、新聞、ラジオ、雑誌などのメディア
3)広告代理店
4)ネット企業

 ad:techといっても広告だけではなく、ネットなど新興メディアを利用したコーポレート/マーケティング・コミュニケーション全般を対象としている。

ad:tech London会場。オリンピア・カンファレンスセンター入り口 ad:tech London会場。オリンピア・カンファレンスセンター入り口

 イベント全体は、展示とカンファレンスの大きく2つから構成されている。今回、展示では開催国である英国と北米などのオンライン・マーケティング関連企業が多数出展し、ソリューション技術やサービス事例を紹介していた。また、展示だけではなく、同時に商談が行われるのが特徴的だ。

 また、カンファレンスは大規模なパネルセッションから、聴衆も自由に参加できるワークショップ形式のものまで多様だ。パネルセッションでは、最前線で活躍するリーダー達が最新の業界動向や現在成長過程にあるサービスやソリューションを紹介するものが、数多く設定されていた。

 加えて、講師と聴衆などの参加区分にかかわらず、参加者全員が自由に交流するためのネットワーキング・パーティが開催され、公式なメニューからとは一味違う情報が得られる点で、印象的だ。

 ちなみに、来年秋には、日本でも初めてad:techが開催されることになったという。どんな内容で開催されるか、今から楽しみだ。

展示ブース。150を超える企業がブースを構える 展示ブース。150を超える企業がブースを構える
カンファレンス会場 大ホール カンファレンス会場 大ホール

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