文:Soumya Srinagesh
翻訳校正:吉井美有
2006/08/30 22:56
Wikipediaは、インターネットがもたらしたさまざまな情報革命の中でも最も新しい部類に属するものだ。Wikipediaのおかげで、わたしは春学期の膨大な英語のAP(Advanced Placementの略。優秀な高校生が履修可能な大学レベルの科目)の研究最終課題をものの45分程度で片付けることができた。
締め切りが近づくなか、Googleの数千にものぼる検索結果から目的の情報を探し出したり、図書館に足を運んで調べたりする余裕はないと分かっていた。オンラインで話したり、有名人のゴシップを読んだり、音楽をダウンロードしたりといった、宿題を片付けるうえで不可欠な息抜きをいれながら、そんな膨大な作業をこなす時間などあるはずもなかった。そこで、宿題を先延ばしにして焦っている学生なら誰でも使うであろう手を使うことにした。Wikipediaにログインして、ルネサンス期の文学作品に関する記事を検索し、論文の空白部分を埋めて提出可能な形に仕上げたのである。
Wikipediaという名前は、百科事典を意味するencyclopediaとオンライン編集を簡素化するソフトウェアwikiを組み合わせた造語である。
そのWikipediaが最近、ニュースの見出しに登場した。コメディアンのStephen Colbertが、面白いウソの記事をWikipediaに投稿し、自分のファンにも同じことをするように呼びかけた。それによって、ColbertはWikipediaでの記事の編集や追加を禁止される、という事件が起こったのだ。
しかし、このColbertのふざけた行為は、世界中のWikipedia利用者たち(多くはわたしやわたしの仲間たちのような平凡な人たち)にある種の恩恵をもたらしたともいえるのではないだろうか。わたしを含む多くの高校生は最近まで、その内容の完全性について何の疑問も持たずにWikipediaを使っていた。Colbertの件はWikipediaの情報が決して信頼性の高いものではないことを明らかにした。しかし、それ以前には、Wikipediaの記事は権威があり信頼できる情報源だ、と多くの人が認識していたのではないだろうか。
確かに、教師や親たちは「特定のオンライン情報を利用するときは(本当に信頼できる内容なのかどうかを)よく考えてからにしなさい」とことあるごとに言い聞かせているが、締め切りに追われて焦っている学生は、Wikipediaの記事が未検証で裏付けのない情報に分類されるという事実を簡単に忘れてしまう。Wikipediaの形式が典型的な百科事典と同じであることも、内容を容易に信じてしまう理由のひとつだろう。
だからといってWikipediaが悪いと言うつもりはない。
Wikipediaのセールスポイントの1つとして、ニッチな利用者と一般的な利用者のどちらにも対応できる点が挙げられる。また、サイトの充実に貢献することで、自分の意見を人に伝えられるし、自分以外の利用者によって書かれた情報を読むこともできる。とくに、昔からある大手サイトに自分たちの考えを取り上げられることの少ない10代の若者にとってはよい機会となる。
しかし、Wikipediaには欠点もある。
たとえば、編集が正式なフィルタとして機能していない。サイトの利用者は厳格な利用規範に従うことが求められているが、Wikiのユーザーには明らかに道徳心に欠ける人たちがいる。これは、Comedy Centralでも実証済みだ。まったくの虚偽の情報がいとも簡単にアップロードされてしまう。これは、わたしが英語の研究課題で、ビートニク(ビート族)を1950年代におけるギャングスターラップのようなものと定義してしまった苦い経験から得た教訓である。たいした失敗ではないかもしれないが、あまりものを考えない人が良心のない人たちによって書かれた情報を使用すると何が起こりうるかという良い例だ。
Wikipediaでは、検索エンジンと違って、自分が探しているテーマと極端に関連性の低い何千というサイトがひっかかってくることはない。また、Wikipediaなら、従来のお堅い教科書と違って、わざわざ図書館まで足を運ばなくても、自宅や寄宿舎でくつろぎながら利用できる。Wikipediaはサイト内の記事が品質管理されていないという事実を公に認めているが、情報にアクセスしたり編集したりするのが簡単であっても、正しい情報とフィクションを区別するすべがないのでは意味がない。
というわけで、学生のみなさんへ、わたしからアドバイスを。Wikipediaは、地元のバンドについて調べたり調査の足がかりとして使ったりするには素晴らしい場所だ。しかし、Wikipediaの情報を期末のレポート課題にそのまま引用したり、Wikipediaの記事で試験の準備をしたりする前に、自分で見つけた情報の真偽をまっとうな情報源で確認すること。次回までには、わたしもWikipediaのページを編集するようになっていると思う。
著者紹介
Soumya Srinagesh
今秋、Wellesley Collegeに入学予定のCNET News.comのインターン。休みのときは、コンピュータから離れて、ボランティア活動に参加している。
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