最終更新時刻:2008年10月7日(火) 18時41分

マイクロソフトと迫りくる仮想化の嵐

文:Charles Cooper(CNET News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)

2006/05/16 20:21  

 IT業界の事情通の間では、仮想化技術がITの世界を席巻することは避けられないとするコンセンサスができあがりつつある。同時に、これらの人々は、Microsoftがこの動きを黙って見過ごすと決めてかかっている。

 私はこの考えを受け入れることができない。

 仮想化技術を使えば、1台のマシン上で複数のオペレーティングシステムを同時に稼働させることができる。仮想化という用語は、私にとって虫の好かないものだが、しかし核心をうまく突いている。つまり、1台のコンピュータ上で複数の「仮想マシン」を動かし、それぞれ個別の作業を実行させることによって、企業は日々の計算処理を行うために必要なスペースを削減できる、ということだ。

 仮想化ソフトウェアベンダーのなかでは、VMwareがダントツの1位だが、一方で英国のケンブリッジ大学で開発プロジェクトが始まった「Xen」というオープンソースの仮想化プロジェクトも、いくつかの大手企業から支持を集めている(そして、Microsoftも、「Virtual Server」および「Virtual PC」という自社製品を提供している)

 不承不承かどうかは判らないが、MicrosoftはIT業界でのこの嗜好の変化を認めて、ライセンス契約の中身に修正を加えた。同社の「Windows Server 2003 Enterprise Edition」では、1ライセンス分の料金を支払えば、Windowsを4コピーまで同時に実行できる。また、「Longhorn」(現在は「Vista」) Server Datacenter Editionでは、Windowsをいくつでも好きなだけ実行できるようになる--そして、MicrosoftはまずWindows Server 2003でこの価格設定を発表する可能性もある。

 このことだけに目をやれば良い話なのだが、しかしIT管理者はそうでなくても手一杯の状態で、もともと各サーバ上で動いているWindowsの数を数えている暇はない。また、価格に関する問題も存在している。エンタープライズパッケージのいずれかを選択しない限り、Microsoftは依然としてWindows1コピーに対して1ライセンス分の料金を要求している。そのため、変化する要求に合わせて、仮想マシンを動かしたり停止したりする状況を思い浮かべてみれば、Windowsのライセンス数をきちんと把握するのは、いっそう厄介な問題になることがわかる。

 私の友人の自由論者たちは、ソフトウェア会社はライセンスや価格設定に関する自社の方針を自由に決めることができると主張するだろう。顧客がそのライセンス規約を論理的で公正であり、恣意的なものではないとみなす限り、不平の対象となるようなものは何もない、というわけだ。しかし、われわれは一般的なソフトウェア会社について話しているのではない。Microsoftは裁判所によって略奪的な独占行為を行っているとされた会社であり、これは重要な違いである。同社がすべての仮想Windowsマシンに対して、それぞれライセンス料を徴収すると言い張った場合、それは独占禁止法違反となるだろうか。

 私が知る限り、この点が裁判の争点となったことは1度もない。だが、そうなる可能性はあるのだろうか。

 シリコンバレーが前回この道を通った際には、結局これといった成果をあげられずに終わった。司法省側の主席検事David Boies氏は、愚かにも証言台に立ったMicrosoftのお偉方を、ひとり余さず粉々に切り刻んだ。しかし、この独禁法違反訴訟における最も深刻な容疑は控訴審で覆された。

 Microsoftは、VMware(あるいはその他の仮想ソフトウェア製品)ユーザーが、それぞれの仮想VMwareマシン上で動かすWindowsの1つひとつに対して料金を徴収したいと考えている。これは公正な話だ--同社のエンドユーザーライセンス条項にはっきりとそう書かれているからだ(ただし、こういった状況に対するMicrosoftのライセンスの詳細は、聞くところによるとまちまちである)

 しかし顧客は、コンピュータ1台につき1ライセンスで十分--仮想化の時代が来るまでは少なくともそうだった--と主張するだろう。仮想化を支持する人々は現行の制限に苛立ち、Windows1コピー分の料金を支払うだけで、ユーザーは好きな数だけ仮想マシンを動かせるようにすべきだと確信している。そして、Microsoftは方針転換することで、自社の利害に計り知れないほど大きなプラスの影響をもたらせると考えている業界幹部もいる。

 「そうなれば、新たな利用シナリオの可能性が開け、実際にMicrosoftのライセンス収入が増加するとともに、顧客にとっても利用した計算処理量当たりのコストや有効な計算処理量当たりのコストが減少するだろう」とこの幹部は述べている。「もしもMicrosoftがそれぞれ(の仮想環境)に課金しようとすれば、顧客は抵抗し、はるかに価格の安いRed HatやSuseのプラットフォームに強く惹かれることになる」(同幹部)

 そうなる可能性もなくはないだろうが、しかし彼の考えは希望的観測に聞こえる。私の知る限り、Microsoftが慈善団体だったことはない。仮想化によって生じるコストのすべてを払わずに済まそうとする企業は、Bill Gates氏と彼の企業のおかげで、訴訟を起こされることになるだろう。

著者紹介
Charles Cooper
CNET News.com解説記事担当編集責任者

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