良い第一印象を与えるチャンスは一度しかない。最初に会ったときだけだ。
昔から若者たちの役に立ってきたこの賢明な助言が、インターネット時代にあって新たな意味を持ち始めている。ブログサイトやソーシャルネットワーキングサイトで自分の個人的な情報や考えを熱心に書きたがる子供たちや10代の若者たちは、自分の将来に重大な影響を与える可能性のある「証拠」をせっせと残している。
10代の若者とブログに関する最近の議論は、そうしたブログを書く若者を食い物にする輩たちの犯罪行為を糾弾するものと、憲法上の権利と言論の自由に焦点を当てたものがほとんどだ。中学生や高校生がウェブ上の投稿で、他人を中傷したり、自身の放縦な私生活を生々しく書いたりして、停学になったり逮捕されるという事件が後を絶たない。麻薬取引の自慢話を書いていたら実際に警察に踏み込まれたという事件さえある。
ネット上に残されたこのような書き込みに、憲法上の保護を受ける資格があるのかどうか。この問題に対して、裁判所が最終的にどのような判断を下すのかはわからない。だが、それとは別に、これらの書き込み自体が、子供たちの将来の可能性を制限することになりかねない。結局のところ、今日ではある人物の素行調査をしたいと思ったら、インターネット上でその人物の検索を行ってみるのが一番手っ取り早いからだ。
教師に腹を立て、痛烈でわいせつな諷刺文をMySpace.comなどのサイトに無分別に書き込む子供たちがいるが、そうした行為が数年後、大学進学のための奨学金を取得したり、希望の職に就こうとした際に、大きな障害になる可能性があることなど、彼らは考えていない。しかし、そうしたことは起こりえるし、実際に起こっている。たとえば、あるロースクールの卒業生は、裁判官の書記という誉れ高い仕事に就けるはずだったのに、突然断られてショックを受けた。素行調査の結果、その卒業生が数年前にウェブで不適切な書き込みを行っていたことが判明したためだった。
デジタル文化の与える影響について、われわれがまだ把握していない部分は多い。若者たちは、自分がウェブに掲載した内容が10年経ってもまだ自分の身について回ることを知りつつある。今や、子供たちが家庭やモルト・ショップでかわした私的な会話が録音され、後世に残される時代になっている。子供たちがそれを認識しているかどうかは関係ない。素行の良い子供であってもウェブ上の書き込みにコメントするくらいのことはあるだろうが、それがその子の将来に影を落とす可能性がある。
インターネットで起こったことは、どこか実世界のものではない一時的なものであるように思えるが、こと情報の保存と流布という点では現実世界など足下にも及ばない。コンピュータネットワークというのはそのように設計されている。いったんネット上でさらけ出してしまった汚点をぬぐい去ることは事実上不可能だ。それは永久にネット上に存在し続け、検索エンジンでいつでも誰でも見ることができる。つまり、自分で書いたことでありながら、自分でコントロールできなくなってしまうのである。
こうした現状を憂慮した人々が、子供たちのアクセスできるサイトや彼らがインターネット上で発言できる内容を制限する新しい法律の制定を求めて、ロビー活動を始めている。しかし、こうした法律は当然、護憲派の反対を受けるため、すんなり可決されることはまずないだろう。仮に可決されたとしても、利口な子供たちのことだから、おそらく法律の網の目をかいくぐって、今までどおりネットを利用し続けるに違いない。
言論の自由は大きな武器である。しかしそれは、10代、20代の若者が振り回すにはあまりに大きすぎ、危険過ぎる武器である。それがサイバースペースの厳しい現実だ。ある調査によると、人間の脳の中で衝動を制御し、軽率な行動を抑える役目を担っている部分は、青年期の後半になるまで完全には発達しないという。ウェブ上の書き込みとそれが後々及ぼす影響について子供たちに教えるのは良いことだが、そうしたところで人間の脳の仕組みが変わるわけではない。若いときの衝動は抑えられないのである。
われわれ大人は、自分自身の言動に責任を持つと同時に、親として、軽はずみな行動に駆り立てる衝動から子供たちを守ってやる必要がある。現実の世界では、子供たちが集まって交流するための安全な場所が提供されているが、ネット上にも同じような場所が必要だ。ネット上には、何度かクリックするだけで危険に行き当たる可能性が常にある。
心配の種が、小児愛者やネット上でのポン引きであれ、子供たちに将来消えることのない烙印を押してしまうことになり兼ねない子供たち自身による書き込みであれ、解決方法に違いはない。子供たちが自由に書き込み、意見を共有できる、魅力的で安全な環境が必要とされている。
子供たちがネット上でのびのびと活動でき、インターネット時代に欠かせないスキルを伸ばしていけるような、クローズドな環境を考え出す必要がある。逆に、このまま子供たちの自由にさせておくつもりなら、それが長期的にどのような結果をもたらすことになるのかを考えなくてはならない。
筆者略歴
Tim Donovan
Industrious Kidのマーケティング担当バイスプレジデント。同社は父母公認の、子供にも使いやすいオンライン製品/サービスなどを専門に開発している。
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