「ポッドキャスティング」をご存じだろうか。もし知らないという方がいたら、そろそろ調べておいたほうがよいだろう。
現在人気が高まっているポッドキャスティングだが、この仕組みを使うことで、コンピュータ、マイクロフォン、インターネット接続環境さえあれば、誰でも自前のラジオ番組を制作することが可能だ。ブログは簡単にホームページを作成するための仕組みだが、ポッドキャスティングはブログの音声版と考えればよいだろう。
ポッドキャスティングで番組を聞いたことのある人なら、良い番組を探すのはなかなか難しいことに気づいたはずだ。とりわけ、特定のトピックや特定のジャンルの音楽を扱った番組を探すとなると大変だ。ポッドキャスティングの発明者であるAdam Curryが流している番組でさえ、ときどき彼のガールフレンドがキッチンで皿洗いをしている音が入っていたりして退屈になることがある。
ポッドキャスティングはまだ知られるようになってから日が浅いため、番組を検索するには、iPodder、Podcast Alley、Podcast.net といったディレクトリサイトをブラウズするという方法が一般的だ。こうしたポッドキャスティング専門のポータルサイトは、この仕組みを使って一稼ぎしようと躍起になっている企業家たちの手で、ほとんど一夜にして立ち上げられた。
これらのポータルは便利ではあるが、初期のインターネット検索サイトのようでまだまだ使い勝手が悪い。ちょうど、Googleのような検索エンジンではなく、人間の手で管理されていた時代のYahooのサブカテゴリをブラウズするのに似ている。多くの専門家はポッドキャスティングが爆発的に普及すると予測しているが、もしその通りになったとしたら、こうした人間が管理するポータルでは急増するコンテンツに対応しきれないだろう。それはちょうど、Yahooのディレクトリがインターネットの成長についていけなかったのと同じだ。
そこで登場するのがPodscopeである。Podscopeは、TVEyesという会社によってポッドキャスティング専用に開発された最初の検索エンジンだ。TVEyesは、テキスト検索が可能な音声および映像ファイルを専門に扱っている(皮肉なことに、TVEyesは最近、同社の映像検索技術をYahooにライセンス供与している)
音声ファイルの検索はどのように実現されているのだろうか。TVEyesのCEO David Ivesによると、同社の検索システムの中核部分であるスパイダーは、ポッドキャストファイルを見つけるとそれを再生し、音声--テキスト変換アルゴリズムを実行するのだという。つまり、ユーザがPodscopeで検索しているのは、実はポッドキャストの音声ファイルから書き起こされたテキストのデータベースなのだ。目的の番組が見つかったら番組全体を再生することもできるし、入力した単語またはフレーズを含む部分だけを聞くこともできる。
Podscopeは、自動記述技術を採用しているため、検索するコンテンツが増えても十分に対応できる。Ivesによると、現在の書き起こしの成功率は75〜80%程度だという。これはもちろん完璧とはいえないが、増え続けるポッドキャストの山(ポッドキャストコミュニティにはまだこれという呼び方がない)の中から目的の番組を見つけるには十分な精度である。
ポッドキャストコミュニティから何が期待できるだろうか。今のことろ、音楽トークショーや、ホストが曲を流してそれについてコメントするといった形態が多い。「現時点では、iPodを購入している人たちの目的は明らかに音楽を聴くことだ。しかし、音楽以外の音声も簡単にダウンロードできるようになってきており、今後はそうしたトーク番組も急増しそうだ」(Ives)。そして、今やポッドキャスティングを行っているのはAdam Curryだけではない。BBC、NPR、Clear Channelといった放送局やその他の民間のラジオ放送局も、自社のコンテンツをポッドキャストとして公開している。こうしたすべてのコンテンツを検索するには、今のところPodscopeを使うのが一番だ。
Podscopeはポッドキャストを検索する人たちにとっては便利だろう。しかし、ポッドキャストを作成して、自分の考えや好みの音楽を世界中に向けて発信しようとする積極的な人たちはどうすればよいのだろうか。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」