クリエイティブ・コモンズとは何か
上のようなバナー画像が貼り付けられたホームページを見かけたことがないだろうか。これは、そのホームページが「クリエイティブ・コモンズ」に参加していることを示す印だ。
クリエイティブ・コモンズとは、インターネット時代にふさしい著作権のあるべき姿を考え、自由に共有できるコンテンツを増やしていこうという活動だ。冒頭のバナーが貼り付けられたホームページは、クリエイティブ・コモンズの枠組みに従って提供されており、誰でもそのホームページコンテンツを自由に共有、あるいは再利用できることを示している。
なぜこのようなものが必要なのだろうか。その背景には、近年、著作権制度が著作者、それも巨大コンテンツホルダーにとって有利な方向にばかり強化され、利用者の立場からのコンテンツの自由な共有と利用が妨げられつつあるという危機感がある。
例えば、アメリカでは、もともと著作者の死後14年間であったアメリカの著作権の保護期間が何回にもわたって延長され(なんと過去40年間に11回)、現在では最長95年間になっている。日本でも、著作権は強化される方向にあり、例えば、公開後50年であった映画の著作権保護期間が延長される見通しだ。また、デジタルネットワークの普及によって容易に流通するようになったコンテンツを(著作権者の立場から)保護するための送信可能化権や公衆送信権のような権利も新たに設定されるようになっている。
インターネットによって、デジタル化されたコンテンツが容易に複製され、転送されてしまうことに対するコンテンツ事業者の危機意識は十分理解できる。しかし、その反面、権利強化が進むにつれて、本来、人に見聞きされるべきものだったはずの著作物の自由な流通が妨げられ、新たな創作の芽が摘み取られてしまうのではないかという懸念もある。
こういった問題を、共有可能なコンテンツを増やしていくことで、回避しようというのがクリエイティブ・コモンズの活動だ。
クリエイティブ・コモンズの目的
クリエイティブ・コモンズの中心は、スタンフォード大学のローレンス・レッシグ教授が会長を務める「クリエイティブ・コモンズ協会(Creative Commons Corporation)」だ。同協会は、コンテンツが安価でより簡単に利用できる環境を作り出すことを目的として2001年に設立された。
コンテンツが自由に共有され、利用される環境を実現するために、クリエイティブ・コモンズ協会は、コンテンツの著作者と利用者の間のライセンスを初めとするいくつかの道具を提示している。冒頭で示したロゴマークは、そのような道具の一つである共通ライセンスに従ってコンテンツが公開されていることを示す。
クリエイティブ・コモンズは、他人との共有を前提に公開されたコンテンツを増やし、自由に共有可能な創作物のコモンズ(共有地)を作り出すことを目的としている。そうすることで、その創作に刺激された、新たな創作がさらに生み出される。クリエイティブ・コモンズは、このような創作活動の連鎖を作り出すことで、知のイノベーションを支えようとする運動なのだ。
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