2009 International CESでは、各家電メーカーが、ウィジェットをテレビに表示させるウィジェットテレビを発表し、話題となった。こうしたインターネットとテレビを融合させる動向がデバイスメーカー側から活発になる中、コンテンツホルダーであるテレビ局のオンライン戦略も注目される。CESの講演では、コンテンツ側のインターネット戦略も多く聞かれた。
Disney-ABC Television Group社長のAnne Sweeney氏は、CESの基調講演で、自社のインターネット戦略について語った。
Sweeney氏が強調したのは、モバイル、テレビ、インターネットの3 スクリーンへコンテンツを提供することで、トータルな視聴者獲得を目指し、広告メディアとしての付加価値を高めるということである。
そのため、ABCのドラマ、ニュースを積極的にモバイルやインターネットに提供している。Sweeney氏は、人気ドラマ「LOST」、朝のニュースショウ「Good Mooring America」の2つを例にあげ、Disney-ABCの取り組みを語った。
「『LOST』は、ドラマのあらすじで書ききれなかったシーンを新たに制作、配信したり、ゲームを提供している。これにより視聴者コミュニティが形成され、ドラマをより深く楽しんでもらえる」」(Sweeney氏)。また「Good Mooring America」は、ニュース映像をインターネットで配信し、モバイルニュースも充実させているという。
Sweeney氏は、「調査の結果、消費者は無料コンテンツを支持していることがわかった。我々は、自社のプレミアムコンテンツをモバイル、インターネットに無料で配信していく」と広告モデルのインターネット戦略に自信を見せる。
「どれだけの人が番組を見たかで広告を販売する時代は終った。ABCは、CM自体をどれだけの人が見たかで販売する方針に転換している」(Sweeney氏)と、デジタル広告の手法を大手メディアであるDisney-ABCも取り入れていく戦略を明らかにした。
3スクリーントータルでのメディア力強化は、米国4大ネットワーク局のNBCを傘下にもつ、NBC Universal(NBCU)も打ち出している。NBCUは、「TAMi(Total Audience Measurement Initiative)」という新たな広告指標をCESで披露していた。
TAMiは、テレビ+インターネット+モバイル+VOD(ビデオオンデマンド)のコンテンツ視聴数を合計した数値である。例えば、2008年8月に開催された北京オリンピックでは、NBCUのテレビ放送は2億1358万視聴者がいたが、これにNBCUが配信したインターネット、モバイル、VODを合計すると、2億7333万人が視聴したことになる。テレビ放送だけの場合より、リーチ数が28%増加するのだ。
CESのNBCUブースには、TAMiの概念をわかりやすく伝えるため、テレビを横に連ねた展示がされていた。ブース内には他にも、動画配信サービス「Hulu」、NBCモバイルなどがあり、テレビ一辺倒だった前年までとは違っていた。
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