千葉県が「合宿型ワーケーションモニターツアー」を開催--地域活性化狙う

別井貴志 (編集部)2024年03月01日 11時30分

 千葉県は「千葉県合宿型ワーケーションモニターツアー~かずさ・臨海エリア」を10月16日から18日に開催した。千葉県は「合宿型ワーケーション(場所を変え職場のメンバーと議論を交わす)」誘致を積極的に進めていく中で、合宿する可能性のある企業を対象に施設やコンテンツの体験を通し、千葉県内での合宿イメージを高めてもらうことを主な目的にしている。

 初日はまず「きさらづCAMP ORGANIC FIELD in みたて」において、木更津市観光協会から施設紹介などが説明された。トレーラーハウスで宿泊もできる施設で、千葉房総エリアで獲れたジビエ肉なども取り扱っている。

 質疑応答の時間も用意されたが、主に参加者全員の自己紹介の時間となった。見ず知らずの人たちが集まっているのでよそよそしい雰囲気が漂っていたが、この自己紹介時間があったからか、後のプログラムでは交流が盛んになっていった。

きさらづCAMP ORGANIC FIELD in みたて。トレーラーハウスが並ぶ
きさらづCAMP ORGANIC FIELD in みたて。トレーラーハウスが並ぶ

 次に「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」に移動し、「健康、SDGs、企業理念理解」が実施された。千葉県木更津市にある広さ30ヘクタールの施設は「食と農、アートと自然、いのちのてざわり」をコンセプトに、「循環」を体験できる。施設内の畑で取れる野菜やハーブは飲食施設で提供。さらに排水は微生物や植物を利用したバイオジオフィルターで浄化され、場内の活動で出たごみや生き物の排泄物は堆肥となり資源として活用している。

 広大な敷地ということもあって、ここで過ごす時間はかなり用意されていた。そして、最初のプログラムでの自己紹介の影響もあってか、自然といくつかのグループに分かれて昼食を取ったり、各施設を見学した後にグループでの議論を行った。

「KURKKU FIELDS」
「KURKKU FIELDS」
30ヘクタールの施設
30ヘクタールの施設
「循環」をテーマにさまざまなコンテンツが用意されている
「循環」をテーマにさまざまなコンテンツが用意されている
「循環」の説明図
「循環」の説明図

 翌日2日目は、 高滝湖グランピングリゾートにおいて空き教室の有効な利活用などをテーマにした新規事業創造ワークショップが開かれた。

 高滝湖グランピングリゾートは2021年の4月に民間企業により旧高滝小学校をリノベーションしたグランピング施設で、市南部地域一帯の魅力向上につなげるため、企業や行政との連携による「高滝湖企業連携プロジェクト」を同年6月に開始した。参画企業のネットワークを活かした更なる企業誘致の拡大、観光産業の連携による交流人口の拡大など、地域一体での活性化に取り組んでいる。

 この施設で参加者らは、“学びを得る”というよりは、単純に施設を楽しみながら見学する姿が見られた。グランピング施設の中はどうなっているのか、どうすればこの施設を利用できるのか、校舎の中はどうなっているのか、運営はどうしているかなどをスタッフの方々に積極的に質問し、スタッフの人たちは一つ一つ実際に施設を歩きながら説明してくれた。そして、この施設において自社がグランピング研修をする際にどうするべきかなどを考えている方が多かったようだ。

高滝湖グランピングリゾート
高滝湖グランピングリゾート
旧高滝小学校をリノベーション
旧高滝小学校をリノベーション
その後、亀山温泉ホテルで「SDGs、チームビルディング」に関するプログラムとして、薪割り体験等をおこなった。
その後、亀山温泉ホテルで「SDGs、チームビルディング」に関するプログラムとして、薪割り体験等をおこなった。

 最終日は、日本で唯一ポルシェの自動車に試乗できるサーキット施設でワーケーションも可能な「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」において、電気自動車の試乗体験を行った後、「企画力、営業力」に関するプログラムとして、ポルシェの電気自動車での旅行程作成ワークが実施され、ペルソナを設定した人物が好感を持てるツアー案を参加者らがグループに分かれて議論した。これにより、ツアーを設計する企画力と、対象者が何をしたら満足するかなどを調査する過程での提案力(営業力)を育むことが目的だった。具体的には、電気自動車のタイカンで、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京から京都までの旅行プランを作成。スタート時の充電量は約50%で、行程には途中昼食をとって、観光スポット最低2カ所に立ち寄るなどの条件も設定され、もっとも良いと思った旅行プランを全員で投票して決められた。

 「いままでクルマにまったく熱が無かったが、試乗体験で迫力というものがわかった」などの意見があった。

 次に、廃校を利活用しアウトドア体験もできるワーケーション施設「OUTWORK 木更津」に移動し、「採用」に関するプログラムとして、~採用したい人物の言語化ワーク、面接官トレーニングワーク」を実施し、「採用要件を策定することの重要性」や「面接をするうえで意識するポイント」などをテーマに議論された。

 普段の環境とは違うロケーションで、仕事をしながら観光などを同時に味わうのがワーケーションの醍醐味。全体を通すと、社会課題や企業課題などの旬なテーマを扱うプログラムが設定されており、参加者らが積極的に議論している姿が印象的だった。当初はプログラムが盛り込まれすぎではないかとも考えていたが、参加者らの感想をきくと、それほど窮屈ではなかったようだ。具体的な意見としては「それぞれが持つ魅力を恥ずかしがることなく出せることは、社会人の生活の中で忘れてしまっていたが、それがワーケーションでできると感じた」という声があった。

「企画力、営業力~ポルシェの電気自動車での旅行程作成ワーク」
「企画力、営業力~ポルシェの電気自動車での旅行程作成ワーク」

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