アップル「Vision Pro」を分解したiFixitのレポートが示す5つのこと

Adrian Kingsley-Hughes (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2024年02月08日 14時51分

 読者の皆さんはどうか知らないが、筆者は、iFixitがAppleの新しい「Vision Pro」を分解するのを心待ちにしていた。何にせよ、iFixitが分解してくれるおかげで、私たちは、新しいデバイスの目に見えない部分がどうなっているのかを、いち早く(そして、通常は最も詳しく)知ることができるのだ。新しいカテゴリーの製品を設計する人の思考プロセスについて、わずかながらも重要な洞察を得ることもできる。

Vision Pro
提供:David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

 Vision Proの分解も期待を裏切らないものだった。

 iFixitの記事は非常に詳細なので、ここでは、筆者が特におさえておくべきと感じた5つのポイントを紹介する。

1. Vision Proの分解は本当に難しい

 iFixitが誤って何かを壊してしまうのは、分解が困難なときだ。iFixitの分解のプロたちは、うっかりカバーガラスの保護フィルムを溶かして、その一部を剥がしてしまっただけでなく、スピーカーに接続する成形ケーブルも破損した。

 ただし、これにはプラス面もある。そうした分解作業は、修理ガイドを作成して、他のユーザーが修理をしたり、この最初の分解中に発生した破壊的なミスを繰り返さないようにしたりするための重要なステップになる。

 Vision Proを自宅で修理するのはほぼ不可能であり、一緒に購入して一番役立つのは「AppleCare」の保証だろうと筆者は固く信じている。

2. 破損すると困る独自のコネクターがある

 Appleは独自のコネクターを捨てられないようだ。

 ヘッドセットとバッテリーパックを接続するケーブルがあるが、このケーブルでは、標準的な「USB Type-C」コネクターの代わりに、「Lightning」を大型化したような独自のコネクターが採用されている。つまり、一般的なモバイルバッテリーを使用して、ヘッドセットに電力を供給することはできない。

 Appleが独自のケーブルを採用するのは、なぜなのだろうか。何らかの理由があるのかもしれないが、独自ケーブルの採用は、誤ってそのケーブルを破損してしまったら、一巻の終わりであることも意味する。

3. (あまりにも)複雑である

 第1世代の製品、特にAppleの第1世代製品に関して興味深いのは、必要以上に複雑であることが多く、徐々に合理化されていくデザインを備えていることだ。

 例として、「Light Seal」に対するアプローチを考えてみよう。

 「Appleはさまざまな大きさや形の顔に対応するために、28種類のLight Sealパーツを販売している。(中略)これが、Appleが注文を受けたVision Proをすべて手作業で梱包している理由だ。『標準的な』セットアップは存在しない」

 このプロセスは極めて複雑で、費用がかかりすぎるように思えるが、Appleが間違いなく改善しようとしているプロセスの一部でもある。

4. 最大の失敗は「EyeSight」スクリーン

 iFixitは、Vision Proの前面にあるEyeSightスクリーンについて、辛らつに批判している。このスクリーンは、Vision Proが「不気味」に見えないように、着用者の顔の映像を外の世界に投影することを目的としている。

 「EyeSightは薄暗くて解像度が低く、ヘッドセット自体の重さに最も関わってくる部分に多くの重量と複雑さ、費用を加えている。Appleは、目標としていたパフォーマンスを達成できないまま、最終納期を迎えてしまったのだろうか。製造の終盤にミスが発生したのだろうか」

 批判はさらに続く。

 「いずれにしても、市場に投入するのは難しい決断だったに違いない」

 手厳しい意見だ。

5. 修理しやすくはないが、思っていたほどひどくもない

 iFixitの分解記事を読めば、修理のしやすさに関して、何度も失望させられることになると思っていたので、絶望的なほど修理しにくいわけではないことを知って、とても安心した。

 「修理のしやすさという点では、あまり良くはないが、プラス面もある。接続機構の中には、非常に好ましいものもあった。例えば、SIMカード取り出し用ピンを使うと、サイドアームを簡単に取り外せることを知ったときの分解チームの驚きぶりは、皆さんに見せたかったほどだ。磁気クッションはさらにユーザーフレンドリーだった」

 Appleが新しい製品を開発する際に、過去の製品から学んだ教訓を生かしていることは明らかだ。こうした新しい製品の改良を続けて(コストも削減して)いくという同じサイクルが、今回も始まったのである。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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