テクノロジー企業が人工知能(AI)の力を活用し続ける中で、米国の規制当局は、現行の法や規定ではAIをコントロールできなくなることを懸念している。そのため、全米商工会議所はAIの規制を求めている。
同会議所は、2030年までに世界経済の成長に対するAIの寄与が13兆ドル(約1750兆円)に達し、今後10~20年の間にすべての企業と政府機関がAIを利用するようになると予想している。
全米商工会議所のレポートによると、AIによって経済的機会と所得が増え、ライフサイエンス研究の費用が減少して、消費者の生活が効率化する可能性があるという。一方で、AIによって雇用機会が失われる可能性があることも認め、米政府には国民を保護する責任があると主張している。
レポートではさらに、AI開発における米国の最大の競争相手は中国だとしている。米国は、EUの立法者らと緊密に協力し、「業界の成長を現在妨げている主要な法的課題」に取り組みたいと考えている。だが、同会議所は、そうした課題への取り組みが協業の拡大につながることもあれば、激しい国際競争に火を付けたりする可能性もあるとしている。
同会議所は政府に対し、AIが人々の暮らしや仕事に悪影響を及ぼし、経済にマイナスの影響を与え、国際的な交流に緊張をもたらす可能性に対処するよう迫っている。
また、AIの飛躍的な成長を適切に規制するために政府が取り組むべき5つの柱として、効率性、中立性、均衡性、協調性、柔軟性を挙げている。
効率性を確保するには、政治家はAIの規制に向けて現行の法律、規制、指針の妥当性を評価し、現行法の抜け穴をふさぐことに注力すべきだとしている。中立性を保つには、AIに関する法律策定にあたり、社会的な信頼の醸成と市民の権利の保護に注意を向ける必要があるという。
均衡性を実現するには、政治家はリスクベースの観点でAIを規制する必要がある。同会議所によると、AIは「複数の分野を横断し、複雑で、急速に変化している」ため、協調性を保つには、連邦政府機関同士の協力が最も重要となる。柔軟性を維持するには、連邦政府がAIのリスク監視において拘束力のない自主規制的なアプローチを受け入れる必要があるとしている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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