東日本電信電話(NTT東日本)は2月15日、同社宮城事業部、仙台市医師会、仙台市、東北大学大学院工学研究科が共同で、オンライン診療のさらなる活用に向けた実証を開始したと発表した。期間は2月1日から3月31日まで、仙台市内を対象に実施する。
東北地方では、将来の医師不足を考慮し、オンライン診療の積極的な応用を早期に検討している。
医師の定期訪問が困難な地域に居住する患者宅に、医療機器を搭載した車両とともに訪問看護師が訪れ、姿や表情、聴診音や心電図、さらには超音波画像などを遠隔地の医師に正確に伝える技術があれば、一定の医療の質を保てると想定する。
2020年度に仙台市医師会、仙台市薬剤師会と仙台市が行なったオンライン診療の実証実験では、(1)初診や急性疾患への適用には課題はあるが、慢性疾患等には有効、(2)対面診療と比べて質的な差があることから、聴診音の情報など機器の開発・導入が必要、(3)通院の負担軽減、郊外地域での高齢者、高齢者施設、在宅医療での活用可能性――の3つの結果が得られたという。
今回の実証では、2020年度の実証結果などを踏まえ、環境が必ずしも良好でない地域から、各種の生体情報や画像がどの程度伝送可能かを技術的に評価し、改善に向けて検討する。
具体的には、仙台市内の郊外地域に医療・通信機器を搭載した診療カーで訪問し、診療カーに同乗する看護師が診察補助を行なうモデルで実施する。具体的には、慢性心臓疾患患者や慢性呼吸器疾患患者を疑似的に想定し、無線環境における医療機器の通信品質等技術的評価に加え、実際に医師が使用することで操作性なども評価するとしている。
今後の展望について、NTT東日本は「今回の技術検証によって医師の定期訪問が困難な地域におけるオンライン診療普及のための課題を抽出し、実装に向けたさらなる検討を各者と連携して推進する」という。また、各種機器操作の簡略化でより受け入れやすいオンラインシステムの構築の実現を目指す。
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