改めて考えると、楽天モバイルとしては、スマートフォン向けの通信料金であるRakuten UNLIMITは、やはり「あまりに安すぎた」と後悔しているのではないか。今回発表された法人プランやRakuten Turboは、他社と比べて「劇的に安い」と言うわけではなく、そこそこ戦える値付けとなっている。しっかりと利益が出るような、絶妙な料金設定をしている感がある。
いま振り返ってみても、「3000円程度でデータ使い放題」というのは大盤振る舞い過ぎた感がある。値付けが安すぎるのだが、それで、ユーザーが一気に楽天モバイルに殺到したかと言えば、微妙な状況だ。一時期は500万を超える勢いもあったが、2022年9月末現在で楽天モバイルユーザーは455万契約と、ゼロ円プランの廃止の影響で、契約者は伸び悩んでいる。
実際のところ、新春カンファレンスでも示されたデータだが、既存3社のユーザーの平均利用データ容量は9.3GBしかない。既存3社のユーザーの多くが、データ使い放題プランの必要性を感じていないことになる。つまり「データ使い放題を使いたいけど、ドコモ、au、ソフトバンクは高いから楽天モバイルに移ろう」という流れにはあまりなっていないのかもしれない。
一方で、楽天モバイルは昨年、1GBまでなら0円となるプランを廃止。3GBまでは1078円になってしまった。他社を見渡すと、ソフトバンクの「LINEMO」やKDDIの「povo2.0」が3GBで990円というプランを提供しており、小容量プランでの楽天モバイルの優位性はなくなってしまっている。
楽天モバイルとしては、安価な料金プランで他社からユーザーを奪おうとしたが、思った以上に顧客獲得に苦労した。そんななか、楽天グループ全体としてはECや金融事業が好調なものの、設備投資がかさむモバイル事業がグループ全体の足を引っ張っている状態が続いている。
楽天モバイルは新規参入時から「2023年度の単年黒字化」を宣言しており、いよいよタイムリミットが迫りつつある。あと1年と少しでなんとか黒字化を実現する必要があるため、これ以上、料金プランで攻めるのは難しく、むしろ、きちんと儲かる料金設定」が求められる。そのため、法人向けプランやWi-Fiルータープランにおいては、堅実な料金設定に落ち着いたようだ。
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