中国最高人民法院、2025年までに全裁判所でAIインフラを整備するよう指示

Eileen Yu (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年12月19日 08時00分

 中国は、人工知能(AI)のインフラストラクチャーによって司法部門を支援したいと考えており、2025年までにその体系を整備するよう指示した。この指令の狙いは、AIと司法業務の統合を推進し、司法サービスを強化することにある。

 国営メディアChina Dailyの報道によると、中国の最高人民法院がガイドラインをリリースし、その中で、「有能な」AIシステムを3年以内に実装することをすべての裁判所に義務づけることが記載されていたという。

 AIを使用するための、「より適切に規制され」、より効果的なインフラストラクチャーが確立すれば、訴訟の処理に必要なすべてのプロセスを支援できるようになる、とガイドラインには書かれている。これには、AIの緊密な統合、スマート裁判所の開設、より高水準の「デジタル司法」が含まれていなければならない、と最高人民法院は述べている。

 しかし、AIのより高度な応用が、国家安全保障に悪影響を及ぼしたり、国家機密を侵害したり、個人データのセキュリティを侵害したりすることがあってはならない、とガイドラインは指摘しており、訴訟においては、AIの合法性とセキュリティを維持することが重要だと強調されている。

 今後も判決を下すのは人間の裁判官であり、AIは、裁判官の効率性を高め、些細な問題での負担を軽減するために、補助的な参考資料やツールとして活用される、とガイドラインに付記されている。AIを利用したシステムが登場すれば、一般の人々が司法サービスにアクセスしやすくなり、問題をより効果的に解決できるようになるだろう、と最高人民法院は述べている。

 さらに、最高人民法院は国内の裁判所に対し、訴訟を処理する際にイレギュラーな部分があれば特定できるよう、AIの使い方を学習するよう命じた。

 China Dailyによると、最高人民法院はこの10年間、司法分野におけるテクノロジー導入の推進に取り組んできたという。5月には、中国の裁判所とその他のセクター間で、2025年までにブロックチェーンベースの司法連盟を発足させる計画を発表した。この計画では、法律とテクノロジーの統合を促進し、社会経済的発展をより効果的に支援することを目指している。

 2022年9月の時点で、9万以上の調停機関と35万人の調停者が、最高人民法院によって開発されたプラットフォームに参加し、紛争を解決する弁護士をオンラインで支援したという。さらに、中国の裁判所は2021年、1143万件以上の訴訟をオンラインで提起したという。

 中国政府は以前、AIを同国の経済成長の主要な原動力にする計画を打ち出しており、その計画には、2030年までにAIの世界的リーダーになるという目標も含まれていた。

 2022年9月には、産業開発特区が中国のGDPをけん引し、AI、量子コンピューティング、および5G通信の「ブレークスルー」を達成していると評価して、さらに50のハイテクゾーンを2030年までに追加することを発表した。中国初のAIチップと量子通信衛星は、ハイテクゾーン内で働く科学者と企業によって開発されている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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