ソフトバンクグループは8月8日、2023年3月期 第1四半期(4〜6月)の決算を発表した。最終損益は3兆1627億円の赤字となった。
同社の代表取締役社長である孫正義氏は、赤字の要因について「世界的株安」と「円安」を挙げた。世界的な金利上昇に伴う株安で、未上場のテクノロジー株に多額を投資する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が2兆3308億円の評価損失を計上した。さらに、急速に進んだ円安で外貨建ての負債が膨らみ、約8900億円の為替差損が生じたことも響いた。
孫氏が経営の最重要指標と位置づける、保有株式価値から単体の純有利子負債を差し引いた時価純資産「NAV」(Net Asset Valu)は、前四半期(3月末時点)から約160億ドル(約2兆2000億円)減少した。一方、円安の影響で、円建てのNAVは6月末時点で18.5兆円となり、前四半期比で横ばいとなった。8月時点でのNAVは6月末時点よりさらに1兆円減少したことも孫氏は明かした。
なお、ピーク時の2020年〜2021年から比較すると、NAVは大きく減少している。この点について孫正義氏は「高いときに買うと下がる確率が上がる。未上場のユニコーンを高いマルチプルで買っても正当化されると思いこんでいた。今振り返ってみると、自分たちの中で(未上場企業に対する)評価に関してはバブル状態があったのではないかと反省している」と述べた。
加えて「(株式市場が傷んでいる)今が買い場ではないかと私も思うし、多くの人がそう思うかもしれない。しかし、上場株は毎日値洗いが行われているが、ビジョンファンドが投資する未上場株は値洗いが行われていない」として、上場株よりも未上場株が割高になっている状況を指摘。未上場のユニコーンは冬の時代がしばらく続くとの認識を示し、ビジョンファンドの投資活動はしばらく抑制する方針を示した。
こうした厳しい市場環境に対応するため、孫氏はビジョンファンドの人員削減も表明した。具体的な規模は明示しなかったが、バックオフィスを含め、日本を含むグローバルで人員を削減するとした。
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