SPACETIDEは宇宙ビジネスに関するアジア最大級カンファレンスの開催や情報発信、国内外の関連組織との連携を目的とした一般社団法人である。同団体の共同設立者 代表理事 兼 最高経営責任者(CEO)の石田真康氏に現在の宇宙ビジネスを取り巻く環境などについて話を聞いた。
――まずはSPACETIDEや石田氏ご自身の活動を聞かせてください。
2015年に設立しました。僕たちのミッションは「宇宙ビジネスの新しい潮流を作る」こと。従来の宇宙開発は政府主導で、一般人はメディアを通じた情報以外、何も分かりませんでしたが、ここ10~20年はビジネスの側面で宇宙に関わる場面が増えてきました。
僕らは「宇宙産業」の発展拡大を目標に活動している組織です。その一環として、アジア最大級の宇宙ビジネスカンファレンスを2015年から開催してきました。今年(2022年)も7月の開催を予定しています。それと対になるイベントとして宇宙ビジネス関係者の忘年会として「SPACETIDE YEAR-END」も開催しています。他にも宇宙ビジネスの進展を分析した「SPACETIDE COMPASS」を年2回発行しています。
2021年12月のカンファレンスでは「Space Enabled World」という新しい活動を始めました。宇宙ビジネスが生活や社会を変えるユーザー視点のイベントは極めて少ないです。
Space Enabled Worldは「宇宙を使って何ができる?」「ここがよくなった」「これが使いにくい」と利用者視点で議論するものです。ユーザーからは「何でも画像を取得できるというが……」「もっと高頻度で撮影できないと使えない」と宇宙業界側にとっては耳の痛い声も少なくありません。
当初はカンファレンスにおける一つのセッションでしたが、高い評価をいただいて独立イベントしました。例えば、実際に衛星データの購入や衛星通信を利用してみると使い勝手の善し悪しが浮き彫りになりますので、この声を業界に伝えるのが目的です。
僕自身はSPACETIDEで代表理事ですが、宇宙関連ではさらに二つの活動に携わっています。
一つはグローバル経営コンサルティングファームのA.T. KearneyでGlobal Space Groupのリーダーとして活動しています。国内はもちろん最近はアジアやオーストラリア、中東の国々などの宇宙関係の経営コンサルティングをしています。
もう一つは内閣府 宇宙政策委員会 基本政策部会をはじめとする各政府委員会の活動。やはり宇宙産業の構築と政府政策は切っても切れません。宇宙産業の発展拡大は僕自身のライフワークです。
――素人目にも宇宙ビジネスは盛り上がりを見せているように感じます。石田氏の見解を聞かせてください。
イエスです。日本に限らず世界的にイエスですね。民間を主体とした宇宙ビジネス議論は以前からありましたし、ロシアのロケットによる商業輸送サービスの取り組みもその走りでした。ただ近年はスペースシャトルの退役がターニングポイントとなって民間の力を活用する気運が高まり、そうした流れは衛星やほかの分野にも広がってきました。先輩の関係者に話を聞くと、「過去にはない大きな変革を迎えている」との意見が少なくありません。2000年以降は明らかに大変革期にあると見ています。
以前は「政府による宇宙開発」でしたが現在は「民間による宇宙ビジネス」が増えてきています。その代表格ともいえるのがSpaceXです。なので「SpaceXによる20年」とも言えます。SpaceX(Space Exploration Technologies)は頭一つ抜けており、スペースシャトルの退役は一つのマイルストーンです。
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