LINEは6月15日、デジタル店頭POPソリューション「LINE POP Media」の正式提供を同日から開始したと発表した。
LINE POP Mediaは、店舗などに設置したビーコン端末の信号情報と連動し、コミュニケーションサービス「LINE」へ通知やメッセージなどを配信できる「LINE Beacon」を活用。LINEのトークリスト最上部に、メーカー企業の広告を掲載できる。
店内にいるユーザーに限定した広告配信が可能で、6月時点でローソンやサンドラッグなど、計22社(約2万4000店舗)が導入を予定しているという。「今まさに購買をしようとしている」ユーザーに対し、商品棚への誘引や購買の後押しを可能とするメーカー企業向けの広告サービスになるとしている。
小売業における大きな課題のひとつとして、慢性的な人手不足が挙げられ、店舗スタッフのオペレーションの削減が急務となっている。中でも、店頭販促のひとつとして用いられる紙媒体のPOPは、店舗スタッフの手作業となり、業務過多の要因となっている。
LINE POP Mediaを導入すれば、メーカー企業の商品情報やキャンペーン情報をユーザーのLINEに配信するため、POPの設置が不要になり、店舗スタッフのオペレーション削減につながるという。
紙媒体をデジタルメディアに代替することによって、環境負荷軽減にも寄与することができ、SDGsへの貢献も期待できるとしている。
LINE POP Mediaの提供にあたり、2020年からキリンビールやサントリー酒類、アサヒ飲料、大手日用品メーカー、小売店などと実証実験を実施。LINE POP Mediaから企業の広告を受信したユーザーの約53%が広告を認知し、そのうち約75%が今後も広告を受け取りたいと回答したという。LINEは、買い物中に便利でお得に買い物ができる情報として受け入れられやすい広告フォーマットであることが実証できたと説明している。
キリンビールとの実証実験では、ビールや新ジャンルと比較すると店頭露出が限られる発泡酒に対し、店頭での気づきを促すキャンペーン告知手段としてLINE POP Mediaを採用。LINE POP Mediaを実施したエリアの売り上げが上がるなど、一定のキャンペーン効果がみられたという。キャンペーン実施後のアンケートではLINE POP Mediaで広告を受信したユーザーのうち61%が広告を認知し、購買意欲が向上したことが確認できたという。
LINEは、店内でデジタル広告を展開するこの取り組みは、欧米で本格化しているリテールメディア構想を日本国内で先駆けるプロダクトとして小売企業のメリット創出を支援し、パートナーとして共に取り組むものになると説明。今後もさまざまなメニューの提供やプラットフォームの改善を継続的に実施、企業とユーザーの双方に価値ある情報接点を提供し、コミュニケーションプラットフォームとして多様な活用の可能性を広げていくとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」