グーグルが開発する「ユーモアを理解するAI」 - (page 2)

Imad Khan (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年05月20日 07時30分

「スタートレック」のアンドロイドを超えて

 PaLMは5400億ものパラメーターを持つGoogle最大のAI言語モデルだ。テキストをもとにコードを生成し、数学の文章題を解き、ジョークを解説することできる。PaLMは人間の思考過程と同じように、複雑な問題を複数のステップに分け、段階を追って答えを導き出す。

 Pichai氏は壇上でこのプロセスを「生徒に問題の解き方を教えるために、例を示しながら段階を追って説明する教師」になぞらえた。

 Pichai氏の言葉が真実なら、Googleは「スタートレック」が描いた400年後のAIのイメージを追い越したことになる。スタートレックに登場するアンドロイド「データ」は複雑なユーモアを理解できなかった。もっと言えば、PaLMは2090年を舞台にした映画「インターステラー」に登場するAIロボット「TARS」に追いついたとも言える。TARSは、マシュー・マコノヒー演じる主人公からユーモア設定を下げようと言われるほど、ハイレベルなユーモアを備えていた。

 ユーモアを理解し、論理的に推論できるPaLMは、これまでは専門家の手を借りなければ解決できなかったような新しい課題をGoogleが解決する助けとなっている。

 この意味では、GoogleのAIはタイムマシンのようなものだ。AIモデルは人間が何年もかけて学び、研究してきたことを数秒でやってのける。タイムマシンのような企業、より速く、ほぼ瞬時に人と人をつなぐことのできる企業こそが、グローバル市場を支配し、人々の生活を変える。

 検索と広告販売を事業の柱としてきたGoogleにとって、これからもGoogleを調べものに利用してもらうためには技術が重要な役割を果たす。もちろん、こうした技術は顧客に適した広告を表示するためのデータポイントの入手にも役立つ。企業にとっても、GoogleのサーバーやAIは複雑な問題を解決する有効な手段だ。Pichai氏はI/Oで、Googleがオクラホマ州メイズ郡に95億ドルをかけて公開データセンターと機械学習専用のハブを新設する計画にも触れた。Google Cloudの顧客は、この施設の9エクサフロップの処理能力を使って複雑なモデルを実行し、医療、物流、持続可能性といった問題の解決に取り組むことができる。

 個人ユーザーに関しては、Googleはスマートフォン「Pixel」シリーズに搭載する自社開発チップ「Tensor」の強化に取り組んでいる。

 「基本的に、Googleはデータ、AI、そして検索の会社だ。ユーザーの関心とデータが利益の源泉となっている」と、Techsponentialのプレジデント兼主席アナリストのAvi Greengart氏は言う。「Googleにとって、ハードウェアはプラットフォームの延長であり、すべてを動かしているエコシステムの一部だ」

 Googleは「アンビエントコンピューティング」のビジョン、つまり、ユーザーが何も意識せず、直感的にコンピューターを使える未来を実現するためにハードウェアの自社開発に投資する必要があった。

 「他の会社なら、まだ春も来ていないうちから次の秋に登場する製品の話などしないだろう。やけどをするのが怖いからだ」と、Greengart氏は言う。「しかしGoogleは恐れない。むしろクールな機能を備えた相互運用可能なソフトウェアをそろえ、このビジョンの実現に積極的に取り組むはずだ」

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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