メタバースを快適で安全な世界にするために必要なこと - (page 5)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年05月11日 07時30分

 Metaのような企業は、数百万規模の人がメタバースで遊んだり働いたりすることを目指しており、遊びと仕事の境界も明確に定義しなければならないだろう。Metaのメタバース担当バイスプレジデントであるVishal Shah氏は、そのプロセスが進行中だとして、こう述べている。「(パーソナルな境界を)デフォルトの設定にすることが重要だった。規範の確立にも通じるからだ」

 Shah氏によると、すでに確立されている人間関係で個人的に接触するとき、その境界を不快に感じることがあるため、友人用のより小さい境界を作成した。「そうした方向での変更を、当社はこれからさらに進めていく」とShah氏は話した。また、オーディオにさらに細かいニュアンスを持たせて望ましくない他人を除外する、つまり偶発的な遭遇から身を守るオーディオバブルを設ける方策を模索中だとしている。「公共空間、例えばHorizon Worldsで人が集まる『Plaza』などに関するルールは、プライベートな空間の場合や、招待制の空間とは違う。参加する動機が違うからだ」(Shah氏)

 Metaは、単に標識を使うだけではなく、オープンエリアでガイドとして働く従業員を通じてコミュニティーの行動を補強しようとする方向に移行している。だが、それは参加者がルールを守るという信頼に大きく依存するということでもある。

 「多くのプライベートで小さいコミュニティーグループにおける規範の内容に関わらず、こうした公共の空間では、所属したことがある人全員が規範を実践させる責任の一端を担う」。MetaでHorizon Worlds担当プロダクトマーケティングディレクターを務めるMeaghan Fitzgerald氏は、インタビューでこう答えている。「このシステムをスケーラブルなものにする要素として考えているのは、空間の住人の間で共有される理解だ。住人たちは他の人を教育する役割の一端を担う」

 公共のスペースへの参加に関するルールは今も模索中だとShah氏とFitzgerald氏は語った。そして、Shah氏が指摘したように、VRやメタバースでの集まりはリアルタイムであり、直接参加の性質を持つので、現在のほとんどのソーシャルメディアのような、非同期的なブロードキャスト型とは大きく異なっている。ソーシャルVRはほぼ常にライブ体験であり、接続は取り決めの上で実行される。接続の瞬間を他のユーザーと同期するのは、ぎこちない感じもする。筆者は、既に顔見知りの数人とつながるのがベストだと感じる。Zoomや電話と同じように、他のノイズを遮断できる。

 バーチャルなつながりであっても、付き合いのある友人や同僚との仮想上のつながりであれば、筆者もそのルールを概ね把握している。特定の目的でそこにいるのだし、その場での行動規範も分かっているからだ。この数カ月間、大学時代の友人と一緒に、VRのミニゴルフや、「Demeo」というロールプレイングゲームをプレイしているのだが、これはとても楽しい。筆者にとっては、それがたとえ角張ったポリゴンのアバターだとしても、友人のように見えている。どのゲームにも、それぞれのルールがある。筆者が参加した演技のクラスにも、独自の体系があった。

 メタバースとは、巨大なソーシャルのマルチバースを意味するのかもしれないが、同時にそれはもっと小さい、個人的な交流の場でもあってほしいと思う。そうなれば、素晴らしいことだ。筆者がもっと必要としているのは、自分にとって重要なつながりだからだ。メタバースでの集まりに必ず目的を持たせ、その目的を全員に理解させる、というだけのシンプルな話なのかもしれない。オープンワールド性や自由度が少なければ少ないほど、そして制約と目的がはっきりしているほど、筆者は嬉しい。仮想の即興クラスと、友人たちとのつながりは、素晴らしいものだ。巨大なソーシャルメタバースのそれ以外の部分については、評価保留としたい。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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