ARグラスの分野ではサムスンも沈黙を守っているが、これも違和感がある。同社は実験的なテクノロジーに積極的に取り組むことで知られ、スマートウォッチやVR、折りたたみスマートフォンといった分野では早くから市場に製品を投入していたからだ。2021年は「Galaxy」シリーズのスマートウォッチにGoogleの新開発OSを採用した。これは同社がGoogleの力を借りて、ARグラスの最先端を切り拓く可能性を示唆している。
同じことはQualcommについても言える。同社はすでに独自のカスタムソフトウェアを使ってAndroidスマートフォンとの連携を目指すスマートグラスを開発している。しかし、その技術はまだAndroidやGoogleのエコシステムの一部とはなっていない。QualcommとGoogleでは、目指すスマートグラスの方向性が違うのかもしれないが(Googleが独自のチップを開発していることも将来の火種となるかもしれない)、Androidと「iOS」がいまだスマートグラス的なものとの明確な接続手段を持たないことは驚きだ。しかし、状況は近いうちに変わるかもしれない。
Appleは2022年か2023年にヘッドセットを発売すると予想されている。Googleのヘッドセットも似たようなスケジュールになるだろう。各社がいつ手の内を明かし具体的な計画を語るか、新製品のデモを行うかはまだ分からない。Googleは2021年の開発者会議「Google I/O」でProject Starlineを発表したように、2022年はProject Irisを発表するのだろうか。Appleの開発者会議「WWDC」では、ヘッドセットの話題が出るのだろうか。GoogleとAppleはどちらも2014年にスマートウォッチを発表した。2022年には、VR・ARヘッドセットの領域でも同じことが起きるかもしれない。
GoogleとAppleは、たとえプロジェクト同士は競合しているように見えたとしても、共通点を探らなければならない。メタバースの概念は互換性を前提としているからだ。GoogleとAppleはモバイル空間の双璧だ。もしヘッドセットがスマートフォンの周辺機器や拡張機能のような存在となるなら、ARも似た道をたどることになる。つまり、AppleのヘッドセットでGoogleのサービスを使ったり、GoogleのヘッドセットでAppleのサービスを使ったりすることが可能になるだろう。その両方であれば、もっといい。しかし現在と同じように、ユーザーの囲い込みも広く行われることになるはずだ。
現在のところ、Googleは何も認めておらず、コメントも出していない。Appleも同じだ。しかし両社の参入、特にGoogleの参入は、ARヘッドセットを未来の主戦場となるモバイル空間に押し出すことになるだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する