グーグルがARグラス開発競争の「要」となる理由 - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年01月25日 07時30分

GoogleのソリューションはサムスンやQualcommなどに恩恵をもたらす

「ThinkReality A3」「nReal Light」「Ray-Ban Stories」 と筆者のメガネ
(左から)「ThinkReality A3」「nReal Light」「Ray-Ban Stories」 と筆者のメガネ
提供:Scott Stein/CNET

 ARグラスの分野ではサムスンも沈黙を守っているが、これも違和感がある。同社は実験的なテクノロジーに積極的に取り組むことで知られ、スマートウォッチやVR、折りたたみスマートフォンといった分野では早くから市場に製品を投入していたからだ。2021年は「Galaxy」シリーズのスマートウォッチにGoogleの新開発OSを採用した。これは同社がGoogleの力を借りて、ARグラスの最先端を切り拓く可能性を示唆している。

 同じことはQualcommについても言える。同社はすでに独自のカスタムソフトウェアを使ってAndroidスマートフォンとの連携を目指すスマートグラスを開発している。しかし、その技術はまだAndroidやGoogleのエコシステムの一部とはなっていない。QualcommとGoogleでは、目指すスマートグラスの方向性が違うのかもしれないが(Googleが独自のチップを開発していることも将来の火種となるかもしれない)、Androidと「iOS」がいまだスマートグラス的なものとの明確な接続手段を持たないことは驚きだ。しかし、状況は近いうちに変わるかもしれない。

AppleとGoogleは協力しながら競合する関係に

「Mirag Solo with Daydream」
レノボが2018に発表した、Googleの「Daydream」に対応するVRヘッドセット「Mirag Solo with Daydream」
提供:James Martin/CNET

 Appleは2022年か2023年にヘッドセットを発売すると予想されている。Googleのヘッドセットも似たようなスケジュールになるだろう。各社がいつ手の内を明かし具体的な計画を語るか、新製品のデモを行うかはまだ分からない。Googleは2021年の開発者会議「Google I/O」でProject Starlineを発表したように、2022年はProject Irisを発表するのだろうか。Appleの開発者会議「WWDC」では、ヘッドセットの話題が出るのだろうか。GoogleとAppleはどちらも2014年にスマートウォッチを発表した。2022年には、VR・ARヘッドセットの領域でも同じことが起きるかもしれない。

 GoogleとAppleは、たとえプロジェクト同士は競合しているように見えたとしても、共通点を探らなければならない。メタバースの概念は互換性を前提としているからだ。GoogleとAppleはモバイル空間の双璧だ。もしヘッドセットがスマートフォンの周辺機器や拡張機能のような存在となるなら、ARも似た道をたどることになる。つまり、AppleのヘッドセットでGoogleのサービスを使ったり、GoogleのヘッドセットでAppleのサービスを使ったりすることが可能になるだろう。その両方であれば、もっといい。しかし現在と同じように、ユーザーの囲い込みも広く行われることになるはずだ。

 現在のところ、Googleは何も認めておらず、コメントも出していない。Appleも同じだ。しかし両社の参入、特にGoogleの参入は、ARヘッドセットを未来の主戦場となるモバイル空間に押し出すことになるだろう。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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