Microsoftは2030年までに「カーボンネガティブ」を実現し、さらに2050年までに過去に同社が排出してきたすべての炭素を環境から取り除くという目標を掲げてきた。そして米国時間10月27日、自社のデータセンターの運用と設計を通じてこれらの目標を達成する計画について、さらに詳しい内容を明らかにした。同社はまた、持続可能性(サステナビリティー)に関する同様の目標を追求することに関心を持つ顧客を、この日パブリックプレビュー版が公開された「Microsoft Cloud for Sustainability」で支援していく方針だという。
Microsoftは毎年50~100のデータセンターを新設している。同社は、建築資材として用いるコンクリートや鋼材のエンボディドカーボン(建築時のCO2総排出量)を削減する取り組みを進めており、30%~60%削減できる可能性があるとした。さらに、建物の基礎、構造物、外壁に利用できる持続可能性の高い新たな資材の開発に投資したり、低炭素素材(土で作られたスラブ、藻でできたレンガやパネル、キノコを使った構造用鋼管、農業廃棄物からできたパネルなど)によりCO2排出量を削減する方法を研究したりしている。加えて、再生可能エネルギーの電力購入契約を新たに締結した。
これと並行して、Microsoftは「Microsoft Circular Center」と呼ばれる施設を開設した。同社によれば、この施設の目的は、サーバーを再利用することでサーバーのライフサイクルを延ばし、廃棄物を減らすことだという。同社は最近、アムステルダムに同センターを立ち上げたほか、2022会計年度中にボイドトン(米バージニア州)、ダブリン、シカゴ、シンガポールに新たなセンターを開設する計画だ。Microsoftはこれらのセンターを利用してサーバーを選別し、自社あるいは顧客が再利用可能なものと売却すべきものに振り分けている。その最終的な目標は、サーバーのライフサイクルを延ばし、廃棄物として埋立地に送られるサーバーの量を最小限に抑えることだ。
Microsoftはかねて、自社のデータセンターの運用に使われる水の量を、2024年までに95%削減できるとの考えを示している。同社は27日、データセンターの温度管理に新しいアプローチを導入することで、水の気化熱を利用したサーバーの冷却システムが必要となる場合、さまざまな気候条件に合わせて従来より高い設定値が適用可能になるとした。この設定変更は2024年までに完了する予定で、アムステルダム、ダブリン、バージニア州、シカゴなどでは冷却への水の使用を完全にやめ、アリゾナ州などの砂漠地帯でも使用する水の量を最大で60%削減できる可能性があるという。
さらにMicrosoftは、二相式液浸冷却技術への取り組みに加え、オーバークロック(プロセッサーのコンポーネントを、設定された電圧、温度、電力設計を超えて動作させること)に関する新たな取り組みによって、高度な人工知能(AI)や機械学習のような負荷の高い作業についてもパフォーマンスを向上させようとしている。液冷技術によって、より狭いスペースにより多くのサーバーを高密度に設置可能になるため、データセンターでは新たなタイプのラック設計が可能になる。同社はまた、さまざまな地域でデータセンターの周辺に森林地帯や湿地帯を設けることで、その土地の生態系を改善し、地域の自然環境を復元する活動を進めている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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