CEO就任から10年--ティム・クック氏がアップルにもたらした3つの変化 - (page 2)

Ian Sherr (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2021年08月27日 07時30分

 さらに、Cook氏はTwitterやLinkedIn、Facebook、Yelpといったテクノロジー企業の経営幹部たちとともに、インディアナ州とアーカンソー州の法律を批判。その法律は、「信教の自由」を支持するために定められたものだが、同氏を含む反対派は、LGBTQコミュニティーに対する差別を助長するおそれがあると懸念を示した。

 Cook氏はTrump氏の大統領在任中、同氏の移民政策を頻繁に批判するようになった。バージニア州シャーロッツビルでの集会で死傷者が出た事件に関して、Trump氏が白人至上主義者やその他の過激主義者を擁護したことについても、Cook氏は非難の声を上げた。また、トランスジェンダーの人々が軍に入隊することを禁止するTrump氏の計画は間違っているとした。

 Cook氏は当時、「私たちは軍に仕えるすべての人に感謝している」と書いている。「誰かを差別することは、すべての人の妨げになる」

 しかし、Cook氏はTrump氏と抜け目なく接しており、一緒にサミットに出席しただけでなく、テキサス州オースティンにある同社の「Mac Pro」製造工場に同氏を招くこともあった。

 The Wall Street Journal(WSJ)の記事によると、Trump氏はかつて、Cook氏について「彼は素晴らしい経営幹部だ」と話したという。「他の経営幹部は、高給を取る外部のコンサルタントを雇う。Tim Cookは自分に直接電話をかけてくる」

 だが、すべてが順調に進んでいるわけではない。最近では、新型コロナウイルスの感染拡大の中で、Appleの経営幹部による職場復帰の方針をめぐって、従業員が反発している。Appleは職場復帰の目標期限を最短でも2022年1月までに先延ばししたが、経営幹部は従業員に対して定期的にオフィスに出勤するよう促していた。

 さらに、一部の従業員は、約14万7000人の従業員の間での嫌がらせや性差別、人種差別、その他の厄介な問題への対応に問題があるとして、Appleの従業員リソースチームも非難している。その従業員らは、Twitterで#AppleTooというハッシュタグを使って団結し、自分たちが懸念している問題を知ってもらうためにウェブサイトを開設した。

 GoogleやFacebook、Uberなど、他の企業も同様の批判にうまく対処するのに苦労している。

製品ラインアップの拡充

 Appleは昔から、製品ラインアップが比較的小規模であることで知られている。Jobs氏時代では、消費者向けのノートブックとデスクトップ(「MacBook」と「iMac」)、プロフェッショナル向けのノートブックとデスクトップ(「MacBook Pro」とMac Pro)を提供していた。数種類の「iPod」も販売していたが、iPhoneは1年に1機種だけだった。

iPhone 11とApple Watch Series 5
提供:CNET

 Cook氏の下で、Appleは製品ラインアップを拡充し、iPhoneでは2つの標準モデル(税込8万2280円の「iPhone 12 mini」と9万4380円の「iPhone 12」)を発表するようになった。米CNETのPatrick Holland記者はiPhone 12について、これまでにレビューした中で最高のスマートフォンの1つと評している。加えて、2つの「Pro」モデル(11万7480円の「iPhone 12 Pro」と12万9580円の「iPhone 12 Pro Max」)もある。さらに、4万9280円の低価格モデル「iPhone SE」もあり、米CNETでは、このモデルについて、2020年に発売されたiPhoneの中で最もコストパフォーマンスが高いと評価している。

 他にも、少なくとも2種類の「Apple Watch」(NikeやHermesとの提携モデルは除く)、3種類の「AirPods」ヘッドホン、4種類の「iPad」も販売している。そもそも、Appleにスマートウォッチ市場への参入を促したのはCook氏だった。

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