オランダ・アムステルダムに本拠地を構える決済プラットフォーム企業のAdyenは5月19日、日本でのアクワイアリング機能の提供を開始すると発表した。
同社の決済プラットフォームは、Microsoft、Facebook、ebay、Spotify、Uber、Booking.com、Tinderといったグローバルで展開するIT企業のほか、マクドナルド、H&M、ZARA、PRADA、ロクシタン、パタゴニアといったコンシューマー製品を展開するブランドでも広く採用されている。全世界で150の通貨に対応し、250以上の決済手段をサポート。2020年の取引処理総額は3036億ユーロを突破している。
同社は2006年に設立され、まずはEU内でのペイメントゲートウェイとしてスタート。2012年には、VisaとMastercardのダイレクトアクワイアリングのライセンスを取得し、現在までにオーストラリア、ブラジル、カナダ、欧州、香港、マレーシア、シンガポール、プエルトリコ、ニュージーランド、米国で展開している。日本市場は、2019年に日本オフィスを開設。2年かけて国内市場の調査を進め、今回、アクワイアリングの業務を日本でも開始することとなった。
Adyenの特徴は、カード決済時に必要な、ゲートウェイ、リスクマネジメント、プロセッシングなどの決済フローを一括で管理できる点にある。この統一された決済フローを世界中で展開することで、グローバル企業が複数国でビジネスをする場合でも、Adyenで決済全体を管理可能。購買データなどが活用しやすくなる。オンライン・オフラインを横断した「ユニファイドコマース」化が進む上で、データをよりよく知ることができ、顧客に対する理解を深めることができるとする。
同社アジア太平洋地域社長のウォーレン・ハヤシ氏は、「リテーラー加盟店が顧客よりも強い力を持ち、ショッピング体験を決めていた状況が大きく変わった。今はアプリで商品やサービスを提供。ありとあらゆる場所で商品とサービスを注文でき、消費者からすると非常に幅広い選択肢が手に入る」とし、「消費者が力を持つようになり、いつでもどこでも消費者の期待に応えられないと失望されてしまう。毎年その要求が高くなっている」と説明する。
続けて、「企業が変革する中で、既存の分断化されたレガシーな決済システムで苦労する点が出てくる。投資やテクノロジーが不足したり、実装で問題が発生した結果、アウトソーシングによってプラットフォームが分断。より多くの人が携わるようになり、プロセスとリソースの非効率性、データの欠如、レポートの欠如が起きるほか、問題点や処理の可視化ができず、新しい機能や市場の参入に時間とコストが掛かってしまう」と指摘。こうした問題点をAdyenで解決できるとする。
日本進出は、Adyenを導入するグローバル企業からの強い要望があり実現したという。日本のEC市場は世界第4位の規模をほこり、今後も高い成長が見込まれる。日本での展開により、世界各国のグローバル企業は、Adyenのプラットフォームを生かした状態で日本市場に参入できるようになる。一方で、国内企業が海外に進出する際に、国内外で決済プラットフォームを統一させるといった用途にもマッチするとしている。
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