漫画家の永井豪氏が手掛けた「デビルマン」をテーマに、仮想空間で行われている展示会「VRデビルマン展~悪魔の心、人間の心~」が開催中。これを実際に体験した。
この展示会は、東映エージエンシーとソニー・ミュージックソリューションズの2社で構成するVRデビルマン展実行委員会により、仮想空間エキシビション・プラットフォーム「VU(ヴュー)Virtual Utopia」にて行われている。期間は4月28日11時から5月31日23時59分までを予定。
展示会に参加するためのアプリには「VRヘッドセット版」と「デスクトップ版」の2種類が用意されており、動作要件を満たすPCやインターネット環境さえあれば、VRヘッドセットを所有していなくても、仮想空間を体験することができる。展示会への入場は有料となっているが、無料でも楽しめる体験エリアも用意されている。
仮想空間の基盤システム開発は、ソニーグループ横断のXRプロジェクト「Project Lindbergh」が担当しており、VR体験で軽視されがちなサウンド面にこだわり、ソニーの立体音響技術とゲームで培われたサウンドエンジンを採用。迫真の観賞体験を提供するとうたう。
展覧会では漫画版「デビルマン」、TVアニメ版「デビルマン」、Netflix版「DEVILMAN crybaby」の3作品を軸としたもの。単なる展示品の鑑賞にとどまらず、仮想空間ならではの演出などを用いて、デビルマンの世界観を体感できるような内容となっている。
前述のように、会場には無料エリアが設けられており、巨大なデビルマンのモニュメントが来場者をお出迎え。一定時間に火を噴くといった光景も見ることができる。
また各界著名人からの応援メッセージや直筆サイン、アート作品などが展示。なかには、庵野秀明氏や、B’zの松本孝弘氏から寄せられたコメントも。ほかにも自身にもっとも近いデーモンを診断して提示してくれる「悪魔診断」や、グッズのショッピングコーナーも設置。またロビーには巨大なスクリーンが設置され、永井豪氏や著名人によるトークプログラムの上映を予定。このトークプログラムは、YouTubeでも同時配信を予定しているという。
有料エリアは、主に4つのエリアで構成。「悪魔の心 desire」「悪魔の心 emotion」「人間の心 fear」「人間の心 heart」と名づけられており、それぞれのテーマに沿う形で仮想空間が作られている。
エリア内では、フィールド内を移動しながら漫画とアニメの名場面を見ることが可能。壁や空間に、漫画のコマやアニメの一場面が展示されており、それを選択すると手前に拡大されて表示したうえ、映像も鑑賞できるようになっている。
例えば人間の心 fearのエリアにあるような、炎が立ち込めるような空間もさることながら、悪魔の心 emotionのエリアでは、中央に巨大なシレーヌの石像が設置されており、いろんな角度から見ることができるほか、石像の上に乗ることも可能。こういったことは仮想空間だからできることのひとつだろう。
メインの4アリア以外にも、高精細3Dスキャンにより制作した巨大な永井豪像が設置されているエリアや、特定の展示を観覧した方のみがアクセスできる隠しエリアも用意されている。
なお有料オプションとして、DEVILMAN crybabyのヒロイン美樹役を演じた潘めぐみさんと、本展でサイコジェニー役を演じ、その他のデビルマン関連作品に出演した関智一さんによるトークを聴くことができる、音声ガイドも用意。よりデビルマンの世界観を深く味わえるものとなっている。
今回VRデバイスを活用しての体験だったということもあるのだが、とかくデビルマンの世界に没入したといえるような体験ができたというのが感想としてある。筆者自身、デビルマンについては知っていても作品にはあまり触れてこなかったが、シンプルに見入ったり、眺めていたりすることが楽しいと思えるものになっていた。
何より、サブタイトルにある「悪魔の心 人間の心」が伝わるものとなっていた。悪魔の心 emotionでは青空が広がるような美しい空間、人間の心 fearでは地獄を想起させるような空間にもなっているのが象徴的で、悪魔や人間に対する問いかけのようなものが、直感的に体験として伝わるれるものとなっていた。サウンドについても単に前後左右から聴こえてくるというよりは、会場で直接音が聞こえてくるような感覚もあり、より臨場感と没入感を高める後押しになっていた。
体験時間も1時間程度用意されていたが、かなり駆け足だったため、おそらく普通に見ると数時間以上はかかるぐらいのボリューム、ファンであれば長時間入り浸れる空間と感じている。展示を見るなかで感じたのは、永井豪氏が描く原画や漫画のコマは、“圧がある”ともいえるような、色あせない存在感。そしてこの展示会は作品に対する知識の有無を問わずとも、デビルマンが紡ぐ世界観を現代の最先端技術によって表現し、ただ見るというだけにとどまらない体験として味わえるものになっていると思えた次第だ。
チケットは1DAY(日付指定)が2200円、ALL-DAY(期間中フリーパス)が5500円、ALL-DAY PREMIUMグッズ付き(限定1000セット※グッズ送料込、配送は日本国内のみ)が1万4300円 、オプションとなる音声ガイドが550円(価格はすべて税込)。詳細は公式サイトに記載されている。また、価格が330万円(税込)という24金でつくられたオリジナルのデビルマン像をはじめとする各種グッズも、公式サイト内オンラインショップで販売している。
※有料エリアでのキャプチャ画像の転載は禁止となっており、記事中の写真や画像は、主催者の許可を得て撮影・取得したものとなっている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス