ソニーAI、「ガストロノミー・フラッグシッププロジェクト」始動

 ソニーは12月15日、ソニーAIが「ガストロノミー・フラグシッププロジェクト」において、シェフの創造力や調理能力向上に貢献するレシピ創作支援AIアプリ、調理支援ロボティクスの研究開発と、これら活動の礎となるコミュニティによる共創活動を本格的に始動したと発表した。

 同社は、人工知能(AI)の基礎的な研究開発を推進し、「人類の想像力とクリエイティビティを解き放つAIの創出」を目指し、日米欧グローバルに拠点を置くSonyAIを2019年11月に発足。その組織をもとに2020年4月、ソニーAIを設立している。

 ソニーAIでは、同社の既存事業領域である「ゲーム」と「イメージング&センシング」に加え、新規探索領域として「ガストロノミー」をその研究開発のフラグシップテーマに設定している。

 また、ゲームや音楽、映画と同様にガストロノミーもシェフであるクリエイターと人を結ぶ、グローバルなクリエイティブエンタテインメントの領域と位置づけており、その機会を捉えるため研究開発と各種パートナーシップを推進していく。

 同社では、食材の組み合わせには無限の可能性があり、土地や風土、季節、人の健康状態や食への嗜好などの制約条件も考慮する必要があるため、AIの研究テーマとして非常に難易度の高いものであると捉えているという。

 そこでソニーAIでは、食のレシピや食材に関するさまざまなデータ(味や香り、風味、分子構造、栄養素など)を元に独自の解析アルゴリズムと、世界トップクラスのシェフも納得する新たな食材のペアリングや、レシピ・メニューの創作を支援するアプリを開発している。

 料理の味が美味しいことに加え、人の健康に寄与し、環境のサステナビリティにも貢献できるレシピ提案を目指しており、開発においては世界トップクラスのシェフとの対話から得られる知見や、食材に関するさまざまなデータを提供するパートナーとの協力関係を築きながら推進する。

 さらに、世界トップクラスのシェフの右腕になり、ある場面においてはシェフの技能をも凌駕する、高度かつ精密な調理支援ロボットの研究開発を推進。調理には、形状や特性の異なる食材の下準備やさまざまなツールを用いることで素材の物理手的変化を伴う調理作業、そしてその後の盛り付け(プレイティング)など複雑な工程がある。

 世界トップクラスのシェフとのコラボレーションを通じて、シェフの技術をセンシングやAIを活用しロボットに学習させることで、調理から盛り付けまでの全工程でシェフを支援することを目指す。

 さらに、遠隔地においてシェフの料理を提供するリモートの技術を用いた遠隔でのロボット操作も研究開発の対象になっている。

 また、創作された料理の楽しみは、パンデミックの影響を強く受けたガストロノミーコミュニティの健全性の上に成り立つことから、コミュニティの長期的な持続可能性に貢献することを目的として、シェフコミュニティとの関係を強化。これらの領域において、最先端の研究を行う大学や研究機関、企業と共に多方面から研究開発を推進していくいう。

 今回、シェフとの関係を構築する第一弾として、「シェフ・インタビュー・シリーズ」をソニーAIサイトにて公開した。総勢18名のシェフや食の専門家へのインタビューをリモートで行い、新たなメニュー開発における発想の原点やプロセス、テクノロジーの活用に加えて、サステナビリティなど今後の食を取り巻く環境で欠かせないトレンドについてをヒアリングしているという。

 今後も、食に携わる幅広いジャンルのクリエイターや見識者との対話を続け、そこから創出される知見をAIアプリおよび、ロボットの開発に役立ていくとしている。

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