時を1995年に戻そう。ラジオからはニルヴァーナの曲が流れている。話題の映画は「トイ・ストーリー」だ。Netscapeが新規株式公開(IPO)を果たし、Microsoftが「Internet Explorer(IE)」をリリースしたことで、ワールドワイドウェブ(WWW)が超新星のごとく、爆発的なブームを巻き起こした。人々はオンラインにアクセスして、Amazonで書籍を購入し、Yahooでコンテンツを検索した。そして、CNETと呼ばれる新しいウェブサイトで、そうしたあらゆるテクノロジーに関する記事を読んでいた。
今日、私たちが使用している個人用ガジェットは、1990年代半ばのものとは大きく異なるが、当時のガジェットの多くは、今ではスマートフォンに集約されている。それでは、ポケベルを身に着け、「Game Boy」を手に取り、カメラに十分なフィルムが残っているか確認しよう。懐かしさと名残惜しさも感じられる、当時を振り返る旅に出発だ。
レンガのようなMotorolaの「DynaTAC」が1980年代にウォール街の金持ちの象徴となった後、携帯電話は1995年頃までには小型化し始めていた。トレンドを作り出した同社の折りたたみ式携帯電話「StarTAC」が登場したのは1996年だったが、Motorolaの「3200」やNokiaのスリムな「2110」(同社があの有名な着信音を初めて採用した携帯電話)は実際に片手で快適に使えるサイズだった。
もちろん、当時の携帯電話には、電話の発着信以外の機能はほとんどなかった(ゲームの「Snake」を搭載するNokiaの最初の携帯電話は1997年に登場し、カメラ付き携帯電話が本格的に普及したのは2000年代初期だった)。だが、この時代の携帯電話は信頼性が高く、頑丈で、バッテリーはいつまでも持続した。そして、携帯電話のデザインに関して言えば、ほぼすべてのスマートフォンがガラス製で長方形の形をとっている今とは異なり、当時は、同じような外観の携帯電話はあまりない、魔法のような時代だった。
初期の携帯電話を持っていなかった人にとって(時には持っていた人も)、ポケベル(米国ではページャー、あるいは医療ドラマなどではビーパーとも呼ばれていた)は、ある意味、自分の人気や重要性を示すツールだった。今からすると、ポケベルを使う一連の手順は、当時の人気ドラマ「メルローズ・プレイス」(後述する)を録画するためにビデオデッキを設定するのと同じくらい古風な感じがする。番号をダイヤルして、信号音が鳴ってから、自分への連絡用の電話番号を入力し、相手が電話機の近くにいること、そして、呼び出しに実際に応えてくれることを祈る。
特定のフレーズのコードとなる数字やアルファベットの綴りに見える数字を入力することで、いわばテキストメッセージの原形を送信することもできた。「hello」を意味する「07734」(この数字を上下逆さまにすると「hello」に見える)や「今すぐ電話して」を表す911のように、比較的分かりやすいものもあった。だが、「I love you」を意味する143など、理解するのに少し苦労するものもあった。お分かりいただけただろうか。これらの数字は、それぞれの単語の文字数を表している(Iは1文字、Loveは4文字、Youは3文字)。
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