欧州委員会の競争総局は現地時間6月16日、Appleが提供する2つのサービス「Apple Pay」と「App Store」を対象とする競争法違反の調査を開始することを発表した。
App Storeに関する調査は、Spotifyが1年以上前に行っていた申し立てに端を発したもの。同社はその中で消費者がアプリ内課金を利用した場合にAppleが企業から徴収する手数料が高いとしていた。この件では、それよりも安い可能性があるアプリ外での購入手段を、開発者らが消費者に知らせることをAppleが制限しているかどうかが調査の焦点になる。
「人気の高いApple端末のユーザーに対するアプリやコンテンツの配布において、Appleは『門番』の役割を獲得したようだ」と、欧州委員会の競争政策担当委員を務めるMargrethe Vestager氏は声明で述べた。「音楽配信サービス『Apple Music』や『Apple Books』など、Appleが他のアプリ開発者らと競争する市場において、同社の定める規則が競争を歪めないようにする必要がある」(Vestager氏)
Spotifyは16日、この調査を歓迎するとともに、直ちに行動するよう同委員会に求めた。
Our goal has always been to level the playing field and today is a good day for consumers, Spotify and other app developers around the world. https://t.co/CmhmU1VjvJ
— Daniel Ek (@eldsjal) June 16, 2020
一方、Apple Payに関する調査では、「iPhone」のNFC機能について他社製アプリやサービスによる利用をAppleが制限する方法が焦点となっている。
「選択の幅、品質、イノベーション、価格といった、新しい決済技術が消費者にもたらすメリットを、Appleの措置が阻害しないことが重要だ」Vestager氏は述べ、さらに新型コロナウイルスの感染拡大で、店舗における非接触型決済の重要性が明らかになったと付け加えている。
Appleは、欧州委員会による調査開始の発表に対し、自社が実施するすべてにおいて法律を遵守し、すべての段階で競争を尊重していると反論した。
「欧州委員会が、単にただ乗りを望み、他のすべての企業と同じ規則に従おうとしない、一握りの企業の根拠のない申し立てを前進させるのは残念だ」と同社の広報担当者は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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