Facebook上で未成年女性に対する嫌がらせや性的搾取を繰り返していたカリフォルニア州在住の男の正体を暴くために、Facebookが米連邦捜査局(FBI)によるハッキングの支援に踏み切っていたと、Motherboardが米国時間6月10日に報じた。
報道によれば、FacebookはこのBuster Hernandez容疑者を約2年にわたり追跡したという。Motherboardによれば、同容疑者はセキュアなOSである「Tails」を利用して実際のIPアドレスを隠し、Facebook上で多数の少女に接触しては嫌がらせを続けていたと、Motherboardは伝えている。
Facebookのセキュリティチームはサードパーティー企業と協力し、Tailsの動画プレーヤーに存在している不具合を利用したハッキングツールを開発したとされる。Facebookが10万ドル単位の開発費用を支払ったとされるこのツールは、動画を視聴している人物の実際のIPアドレスを取得できる機能を備えているという。ただしMotherboardは、FBIが直接Facebookからツールを受け取ったわけではないため、Facebookの関与について知っていたかどうかは不明だとしている。
FBIは、ある被害者の協力を得ながら、このツールを使っておとりの動画をHernandez容疑者に送り、同容疑者の逮捕および有罪判決につながる証拠を集めることができたと、Motherboardは報じている。Hernandez容疑者は2月、児童ポルノの制作や、殺害、誘拐、暴行をほのめかす脅迫など、41件の罪状を認めている。
Facebookは、FBIを支援するために複数のセキュリティ専門家と協力した事実を認め、容疑者が身元を隠すために高度な手法をとっていたことによる特異なケースだったと説明した。同社にとって、Hernandez容疑者が少女搾取の責任を負うことだけが、唯一受け入れられる結果だったという。
FBIはコメントを控えた。
Motherboardでは複数のFacebookの現従業員および元従業員に話を聞いたが、Facebookが警察の犯罪捜査をこのような特殊なやり方で支援したのは、後にも先にもこのケースだけだったと、全員が述べたという。
警察は以前から、メッセージを暗号化するなどの方法でユーザーの身元を隠すことができるテクノロジーには、犯罪者に利用され、警察による法を犯した者の逮捕を妨げるおそれがあると批判してきた。一方で、このようなシステムをハッキングするために作られたツールが、反体制派の人々などの罪を犯していないユーザーを危険にさらしていると主張する人たちもいる。
Tailsのウェブサイトには、同OSがジャーナリストや活動家、家庭内暴力の被害者、プライバシーを重視する人々に利用されているとの記載がある。Tailsの担当者はMotherboardに対し、Tailsの開発チームはこのハッキングについてFacebookから一切説明を受けていないと述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」