神戸市とシリコンバレーのシード投資ファンド「500 Startups」がタッグを組んで、2016年から実施しているアクセラレーションプログラム「500 KOBE ACCELERATOR」(以下、500 KOBE)は4月23日、5期目となる2020年は、すべての対応をオンライン形式で実施することを発表した。
5回目の開催となる本年度は「COVID-19 Emerging Technology(新型コロナウイルス感染拡大で浮かび上がる社会課題を解決するためのテクノロジー)」をテーマに、次の社会のスタンダードとなり、世界の未来につながる新しい価値あるイノベーションを神戸から創出することを目指す。
6月から応募受付を開始し、シード・アーリーステージの国内外の起業家または起業家候補から約20チームを選考し、8月から10月の間にオンラインでメンタリングをするなど、従来と同じプログラムを実施することを予定している。
応募項目は大きく2つ。「アゲインスト・ウィズ コロナウイルス」は、ウイルス感染防止や公衆衛生などに関する正確な情報把握・情報発信(デマ防止)など現状対策に近いもの。「アフター コロナウイルス」は感染収束後、あるいは次のウイルス対策にもつながるリモートワークや学習サポート、健康管理サポートなどとしている。
定例記者会見で500 KOBEの実施を発表した久元喜造市長は、「今年で5回目を迎え、前回は応募の60%が海外からと認知度が世界に広がっている」ことを挙げ、「新型コロナで大変な今だからこそ、ここまで続いた流れを途切れさせたくない」と語った。全てのプログラムはオンラインでの実施を予定しているが、終了後に実施するデモデイについては、社会状況によってはライブ開催することも検討している。
プログラムをオンラインで実施すると決めた背景として、500 KOBEを担当する神戸市プログラムマネージャーの笠置淳信氏は、「メンターを担当する500 Startupsがすでに他のプログラムでリモート対応をしていることや、過去4回の開催で蓄積されたノウハウがあるため、オンラインでの実施は可能だと判断できた」と語る。
また、前回のテーマがヘルステックだったことで、コロナウイルス対策に関するアイデアも検討、支援できる医療関係者や専門家といった協力先との関係が築けていたのも大きいとした。
時差や通訳などオンラインならではの手間は生じるが、一方でこれまでは参加しにくかったスタートアップも応募でき、協力してもらえるメンターも増えるのではないかとの期待もある。実施プログラムの詳細も応募内容にあわせて検討するが、「今まで以上に新しいアイデアを持つスタートアップから応募があるのではないか」と笠置氏は語る。
神戸市は4月20日より、地域課題解決プロジェクト「Urban Innovation KOBE」として、新型コロナ危機に対処するテクノロジーを持つスタートアップを全国から募集しており、アイデアによっては500 KOBEとの連携も考えられる。両プログラムとも投資だけでなく実証実験の場を提供したり、協力先を紹介するなど、行政ならではの継続的な支援をしていきたいとしている。
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