WealthPark、スペースリー、イタンジの不動産テック3社が、不動産会社のリモートワークについてオンラインセミナー「ロックダウンへの備え 不動産会社のリモートワークについて」を開催した。ここでは、以前から物件確認自動応答ができる「ぶっかくん」や非対面、ペーパーレスで契約ができる「電子契約くん」など、オンライン接客を推進するイタンジの「リモートワークでも大丈夫!『オンライン接客』で仲介業務をする方法」を紹介する。
イタンジは2012年に設立。物件確認や内見といった不動産仲介、管理に関わる業務をIT化するサービスを数多く展開している。イタンジ 執行役員経営戦略室長の青木千秋氏は「新型コロナウイルス感染拡大を受け、不動産業界は大打撃を受けている。対面ベースでの接客や紙ベースでの書類のやり取りなど、不動産仲介にまつわる業務はネガティブに受け取られがちだが、これらはリモートで回避できる。お客様へのリモート接客と社内におけるリモートワークの現状の2つを紹介する」とした。
オンラインセミナーを開催した4月3日の時点で、イタンジ社内における各種作業は「原則リモートワーク」になっており、推奨から原則に切り換えたとのこと。青木氏は「推奨だと出社してしまう人もいるため、原則にした。勤務体制は、1週間単位で状況を判断し、中長期でも対応できるようにしている」と現状を話す。
リモートワークへ切り換えたタイミングで、代表取締役の野口真平氏が移行した背景、会社のリモートワークに対する考え方、ビジョンなどを全社員に向けて発信。青木氏は「環境が変わることで不安に感じる社員もいる。そうした時に『How』だけではなく『Why』の部分を伝えることが大事。こうすることで、リモートワークに迷っている社員の背中を押せる」と情報発信の重要性を説く。
加えて、社員の所感をチャットツール「Slack」を使って募ったという。「通勤時間、労力、ストレスがなくなった」「無駄が減った分、緊急性はないが重要な課題を考えられるようになった」といったポジティブな意見が上がる一方で、「サボっていると思われるか不安になった」「家のネット環境が悪い」など、ネガティブな意見も出てきた。
こうした意見を吸い上げ、青木氏は「このままリモートワークが長期化すると、みんなの心の距離が遠ざかったしまうと感じた。そこで『Web飲み会』と『雑談チャンネル』の2つを始めた」とコミュニケーション方法を紹介。Web飲み会は最近流行りの「Zoom飲み会」の社内バージョン。「オンラインのほうが楽しいという意見もあり、ウェブ麻雀などもやってみて、コミュニケーションが取れたと感じた」と感想を話す。
雑談チャンネルはSlack上で展開する。「雑談は大事。専用のチャンネルを設けることで、コミュニケーションがとれる。ここでパーソナリティがわかったり、気軽なコミュニケーションが生まれたりしている。ちょっとした工夫で社員とコミュニケーションが円滑に取れるようになる」と実体験を交えて紹介した。
青木氏は「リモートワークはネガティブな意見もあったが、実際にやってみることで新たな発見もあり、一長一短があることがわかった。先行きが見えない部分もあるが、一長一短を早期に発見することで、中長期戦になっても大丈夫な体制を作りやすいと感じている」とリモートワークに早くから踏み切ったメリットを強調した。
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