神戸市とフードデリバリーサービスのUberEatsは、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けている飲食店や家庭を支援する「Uber Eats + KOBE」の取り組みを発表した。UberEatsが行政とこうした連携を行うのは全国初で、4月10日に事業連携協定の締結式が開かれた。
今回の取り組みでは、(1)飲食店に対して、サービス利用による売り上げ機会の創出、(2)就労者に対して、ライフスタイルにあわせて柔軟に働ける“配達パートナー”という働き方を通じた収入の確保、(3)家庭に対して、外出自粛による家事の負担の軽減と食卓のバリエーションを増やすといった、それぞれにメリットをもたらすことを目指しているという。
具体的には、フードデリバリーサービス「UberEats」が3月27日から実施している初期手数料の無料化を当面続けるほか、4月17日から5月11日まで実施するオーダーに応じた割引を、7月12日まで延長する。また、神戸市独自の取り組みとして、お持ち帰りサービス手数料の約4割を3カ月間減免するほか、新規参入希望者に対する、サービス説明から導入までのフローをオンライン化する仕組みを構築する。
対象事業者は、神戸市内ですでにUberEatsを利用している720店舗のうち、店舗数が20店以下の中小規模と既定する飲食店560店舗と新規参加店。地元の有名飲食店やパン屋も参加しており、一部チェーンのフランチャイズ店舗は中小規模に含まれる。
また、神戸市内のUberEatsのサービスエリアは現在6区だが、この機会に北区、垂水区、西区で「お持ち帰りサービス」を利用できるようにする。あわせて参加店舗や配達パートナー拡大のための支援PRを実施することでデリバリーサービスを浸透させ、外出の自粛をうながす効果にもつなげたいとしている。
神戸市は、政府が発令した緊急事態宣言の対象区域に含まれており、直後から飲食店の休業や時間短縮営業が増えている。こうした状況だからこそ食の問題は重要であり、神戸市ではトップからの要請もあって、いち早く今回の提携を実現させたという。
同日の記者会見に登壇した神戸市企画調整局つなぐラボ特命係長の長井伸晃氏は、「本取り組みは神戸市が以前から行っているアイカサやTABETEとのシェアリングエコノミー実証実験の第3弾とも言えるもので、すでにある程度のノウハウが構築されていたのでUberEatsとの話し合いから2週間というものすごい早さで実現することができた」と説明する。
中小企業支援を担当している神戸市経済観光局担当部長の古泉泰彦氏は、「これまで中小企業への支援は団体に補助金を出して、そこから間接的に行っていた。現在の状況は具体的な支援が必要だと考え、UberEatsの協力を得ながら神戸市独自の新しい助成策としていきたい」と語る。事業費の見積金額は現時点で1500万円を予定。状況によっては支援期間を3カ月から延長することも検討しているという。
フードデリバリーに関しては、大阪市で「DiDiFood」が4月からサービスを開始するなど、今後も参入が拡がる可能性がある。一方で衛生管理や配達マナーが問題視されており、今回の連携ではサービスの安全についても着目している。直接受け取りを行わない置き配の対応やアプリを通じて衛生管理に関する注意喚起、マナー向上といった活動を行うほか、追加の対応についても検討していく予定だ。
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