スマート信号機と自動運転シャトルバス、そしてスタートアップの街、ラスベガスへようこそ。ストリップ大通りとしても知られる、きらびやかなカジノが立ち並ぶエリアから少し離れたところに、ここよりもずっと平凡な印象の区域がある。ラスベガス大通りから自動車でわずか15分の距離だが、まるで別世界のように感じる。
ここのダウンタウンは静かだ。ストリップ大通りは1月、CES 2020に押し寄せた20万人の来場者で賑わっていたが、ここの街路は寒くて人通りもない。とても未来の都市には見えなかった。
そう思っていたところ、ここはスマート交差点だと誰かに言われたので上を見上げると、信号機に端末とカメラが接続されているのが目に入った。スマートシティの外観は、映画「ブレードランナー」に出てくるようなものではなく、こんな感じになるのかもしれない。つまり、今ある従来の都市と見た目はそんなに変わらず、違うのは、道路標識や屋根のあるバス停、携帯電話の基地局、建物など、考え得るあらゆるものからセンサーがぶら下がっているということだけだ。
ラスベガス市は、インフラのスマート化に投資している多くの都市の1つであり、野心的なテクノロジー計画の下、住民と観光客の生活をより快適にすることを目指している。こうした取り組みは、センサーや5Gネットワーク、スーパーコンピューター、自動運転車などのテクノロジーを活用する、より広範なトレンドの一部だ。
このプロジェクトの中心的な役割を担っているのがInternational Innovation Center @ Vegasで、ラスベガスのダウンタウン4番街にある、これといった特徴のないオフィスビルに拠点を構えている。大きなガラス窓には、AT&T(スマート信号機を設置)やDell(エッジコンピューティングを処理)、NTTデータ(収集されたデータの分析を支援)、Cisco(自動運転車プロジェクトを支援)など、ラスベガス市のビジョンを支援する各企業のロゴが貼られている。オフィス内には、スマート街灯の試作品や、公園や建物がどのように接続されているのかを示す縮尺模型が飾られていた。
ラスベガス市のIT部門でディレクターを務めるMichael Sherwood氏は、2025年までにラスベガスを「シリコンバレーに匹敵する場所」にする計画だと語った。同氏は、ラスベガスがエンターテインメントだけでなく、イノベーションとテクノロジーに関しても中心地となるようにしたいと考えている。
次世代の通信規格である5GはCES 2020で大きなバズワードとなり、Verizonなどの通信事業者は、さまざまな最先端デバイスが2020年に登場することを約束した。だが、ラスベガス市はさらに先を行こうとしている。
「われわれは独自のプライベート5Gネットワークを構築している」。Sherwood氏は、米CNETの単独取材でそう明かしてくれた。ラスベガス市は、免許不要の周波数帯を使用して、2020年第1四半期にプロジェクトを開始する予定で、2020年夏までに最初の試験的な立ち上げまでこぎ着けることが目標だ。同市は、公表されていない複数のパートナーと連携しているほか、独自に設備や機器を購入して、自らネットワークを構築している。
プライベートのモバイルネットワークは、一部の裕福な地域で生活している人や働いている人、学校に通っている人だけでなく、あらゆる人が平等に接続できる社会に向けた助けとなる。「一般市民を考慮に入れなければ、スマートシティにはなれない」(Sherwood氏)
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