パナソニックは、2019年度第3四半期(2019年4~12月)連結業績を発表した。売上高は前年同期比5.4%減の5兆7556億円、営業利益は17.8%減の2406億円、税引前利益は19.1%減の2380億円、当期純利益は2.6%増の1781億円となった。
また、第3四半期(2019年10~12月)の連結業績は、売上高は前年同期比7.9%減の1兆9112億円、調整後営業利益は1.5%増の953億円、営業利益は2.8%減の1004億円、税引前利益は3.2%減の1002億円、当期純利益は22.2%減の772億円となった。
パナソニック 取締役常務執行役員兼CFOの梅田博和氏は「第3四半期は、売上高は減収になったものの、調整後営業利益は限界利益率の改善や、固定費削減などにより前年並となった。営業利益および純利益は、事業ポートフォリオ改革による構造改革費用を事業売却益などでカバーして増益になった」と総括した。中国などの投資需要の低迷、自動車市況の減速、国内の消費増税、為替などが減収に影響したという。
第3四半期(2019年10~12月)のセグメント別業績では、アプライアンスの製販連結の売上高が前年同期比7%減の7045億円、調整後営業利益は37億円増の294億円。
そのうち、ルームエアコンを含む空調冷熱ソリューションズの売上高は前年同期比1.8%減の1002億円。白物家電などのホームアプライアンスの売上高は前年同期比0.3%減の2438億円。テレビなどのスマートライフネットワークは15.3%減の1701億円となった。
「欧州でのテレビ、デジカメの減販、国内での消費増税の影響などにより減収となる一方、ホームアプライアンスの増販益、テレビのコスト削減などにより、第2四半期に続き増収になった」という。
ルームエアコンでは、収益性が高い日本が暖冬となり苦戦したものの、アジア、欧州を中心に堅調な販売となり、これをカバー。ホームアプライアンスは、冷蔵庫や美容家電が国内外で好調に推移。スマートライフネットワークは、日本での増税影響の反動に加えて、欧州を中心にテレビ、デジカメが苦戦したという。だが、日本では有機ELテレビの堅調な販売がプラスに貢献したという。
ライフソリューションズは、前年同期比1%減の5120億円、調整後営業利益は前年同期比55億円増の334億円。「照明などの減販を、IAQ(Indoor Air Quality)事業や住宅関連事業の増販でカバー。合理化効果などにより、第1四半期、第2四半期に続いて増益になった」とした。
Windows 7のサポート終了に伴う特需の影響もあり、国内、北米向けパソコンが好調に推移したことで、「レットノート」などを含むモバイルソリューションズは増収増益になった。PSSJ(パナソニック システムソリューションズ ジャパン)も、Windows 7のサポート終了に伴う国内向けパソコンの販売が好調だったものの、販売構成比の変更があり、増収だが、わずかに減益になったという。
オートモーティブは売上高は前年同期比7%減3662億円、調整後営業利益は89億円減となりマイナス67億円の赤字。「円筒形車載電池は増収増益になったものの、市況の減速などによる車載機器の減販影響や角形車載電池の固定費増などによって減収減益になった」という。
テスラ向けの車載電池を生産している北米工場については、上期の決算発表時に、「下期には単月黒字化に取り組む」と発言していたが、「第3四半期トータルでの黒字化を達成した」という。
インダストリアルソリューションズは、売上高が前年同期比10%減の3262億円、調整後営業利益は114億円減の100億円となった。「中国市況の影響に加えて、二次電池の中国での需給バランスの悪化、郡山工場の被災影響などにより減収減益になった」としている。
なお、郡山工場は、被災により数十億円の損失が出ているというが、2020年2月末の完全復旧を予定しているという。
一方、2019年度(2019年4月~2020年3月)の連結業績見通しは、2019年11月公表値を据え置き、売上高は前年比3.8%減の7兆7000億円、営業利益は27.1%減の3000億円、税引前利益は30.4%減の2900億円、当期純利益は29.8%減の2000億円と、減収減益の計画としている。
「全社見通しは売上高、利益ともに変更はないが、足元の経営状況や事業ポートフォリオ改革の影響を反映して、セグメント別は一部修正した」という。
コネクティッドソリューションズでは、セキュリティシステム事業売却の影響を反映して調整後営業利益で30億円の下方修正を行ったほか、インダストリアルソリューションズでは、中国を中心とした自動車市況の減速、二次電池の需給悪化、台風被災、知財収入の減少、半導体事業の減損を織り込み、売上高で300億円減少、調整後営業利益で200億円の減少とした。
なお、新型コロナウイルスの影響については、「まだ、中国市況をどう見るかの想定ができていない状況にある。春節によって、中国の全事業所が休業し、今日からの稼働を予定していたが、これを2月10日に延長したところである。中国での正月にあわせて、ほとんどの日本人社員は、日本に帰ってきている。再稼働にあわせて、中国に行くことになる。生産が足りない分については、振り替え稼働をしていく。デバイスについては、代替生産の準備をしているが、すぐに移行するわけではない。ただ、稼働時期が延びるならば、家電やデバイスなどに影響することになるだろう。基本は、中国政府や地方政府の方針に則って対応していくことになる」とした。
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