折りたたみ式スマートフォンではアプリの使い方も新しくなる。従来型より折りたたみ式の方がいろいろでき、楽しくて便利で、だからこそ高価な分の値打ちがある。そう思わせるには、その新しい使い方が大きなカギになるだろう。そして、そのためにはキラーアプリが必要だ。
より低価格の折りたたみ式スマートフォンの路線を狙うTCLの試作機は、筆者が見たなかでは初めて、90度の位置でしっかり固定できるほどの頑丈さを備えたタイプだった。画面の下半分がキーボードやゲームパッドになり、上半分でアプリやゲームが動くという完全な画面分割モードになることを想像できる。
画面間のスムーズな切り替えは、完成度の高い折りたたみ式スマートフォンを開発するうえで、今後も重要な要因になる。Galaxy Foldで、GoogleはAndroidをうまく動かしている。本体を開くと、アプリは外側の画面からすばやく内側の画面に切り替わる。
これでも見事だが、Googleが切り替えをさらにスムーズにするためにAndroidを改良するのは間違いないだろう。
折りたたみ式スマートフォン全種ではないが、サブディスプレイを備えるタイプでは、その画面の使い方に対するアプローチがそれぞれ違っている。それでもおおむねの傾向として、サブディスプレイの画面が小さくなるほど、できることは少なくなる。
Galaxy Foldの場合、4.6インチの外側ディスプレイでどのアプリも開けるが、横幅がかなり狭められるため、文字は打ちにくい。通知を確認したり、ソーシャルメディアのストリームをスクロールして読んだりする方が向いている。Razrの外側ディスプレイは2.7インチで、そもそも文字入力はできない。メッセージを見たり、定型文で簡単に応答したりという使い方に限定される。
2020年の折りたたみ式スマートフォンでは、外側ディスプレイで何をすべきか、何をすべきでないか、さらに設計を吟味することが必要になる。
画面やカメラの品質と並んで、バッテリー持続時間はスマートフォン購入者がこだわる機能の上位3項目に必ず入ってくる。ただでさえ高価な折りたたみ式スマートフォンのバッテリーが、1日も持たないとか1~2年で容量が大幅に減ってしまうようでは、長い目で見てファンがつかない。相応のバッテリー持続時間を達成できたスマートフォンメーカーが、有利になりそうだ。
大画面タイプのスマートフォンは、超大型バッテリーで、丸1日分のバッテリー持続時間をうまく確保できるようになってきた。だが、折りたたみ式スマートフォンでは話が違ってくる。これまでに見てきた設計ではたいてい、2基の小型バッテリーを組み合わせて、1日じゅう持つだけの容量を実現している。
バッテリーを2基に分けるという手法は、今のところの解決策になっているかもしれないが、効率的とは言えない。1つの大容量バッテリーを1回充電するだけでほぼ足りるようにしたいものだ。折りたたみ式スマートフォンは、今以上のバッテリー効率化を進める道を模索する必要があるだろう。それが実現できなければ、最高クラスの代金を支払ったにもかかわらず、バッテリー持続時間に満足できないユーザーから、怒りを買うことになってしまう。
折りたたみ式スマートフォンは非常に高価で、比較的小型でシンプルなMotorolaのRazrでさえ、1499.99ドル(約16万円)で発売される予定だ。だが、2020年の高級スマートフォンに必須となる次世代通信規格「5G」のサポートで、コストはさらにかさむことになるだろう。折りたたみ式と5Gという高価な要素が組み合わさって負担が増えるとなると、平均的な消費者にはとてもまかなえない額になりそうだ。
折りたたみ式スマートフォンが成功するには、アーリーアダプター以外の多くの人に購入してもらうために、手頃な価格にならなければならない。時間はかかるが、2020年末までに、1000ドル(約11万円)未満で十分な性能の折りたたみ式が発売されれば、少なくとも今後の方向性は見えてくるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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