茨城県境町は1月27日、ソフトバンク傘下のSBドライブ、マクニカ協力のもと、町内の移動手段として自律走行バスを、2020年4月より定時・定路線として運行すると発表した。自治体が自律走行バスを公道で実用化するのは国内初としている。
境町では、高齢化に伴う免許返納者の増加や鉄道の駅の不足、バスやタクシードライバーの不足などの課題を抱えており、移動手段の拡充が喫緊の課題だという。自律走行バスを運行させることで、住民が便利に移動できる環境を構築することを目指す。
SBドライブ広報部によると、午前10時から午後4時ごろまで1日4便を運行予定。すでに境町には民営のバスが走っているが、それに混ざる形で運行するという。また、現在の改正道路交通法では公道での自動走行はレベル3までに限定されており、境町の定時路線でも、緊急事態などで運転を引き継ぐ運転手とそれを補佐する保安要員が乗車する形になるという。
自律走行バスは、仏Navya製の 「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」を採用。まずは、SBドライブが保有するナンバー取得済のNAVYA ARMAと、複数の自動運転車両の運行を遠隔地から同時に管理・監視できる「Dispatcher」を活用して、町内の医療施設や郵便局、学校、銀行などをつなぐルートで運行を開始する。さらに、NAVYA ARMAの販売代理契約を結ぶマクニカから、境町が自律走行バスを3台購入し、2020年夏ごろをめどにSBドライブ保有の車両から切り替えるとしている。
Dipatcherでは、車内での転倒事故につながりやすい乗客の着座前発進や走行中の車内移動などを、AIで検知して遠隔監視者に注意喚起を行う機能や、運行ルートや車両設定の改善のためにそれらの事象が過去に発生した箇所や回数を地図上で確認できる機能、出発地と目的地を指定して遠隔地から車両に走行指示を出す機能などを備える。
SBドライブは、町内のシェアオフィスにサテライトオフィスを開設。初期段階では、同社の社員がバスの運行事業者のドライバーにサテライトオフィス内でトレーニングを実施し、Dispatcherを活用したバスの運行管理をサポート。また、自律走行のためのルート設定や、障害物などを検知するセンサーなどを設定するという。マクニカは、購入後のソフトウェアサポートや各種センサーのメンテナンスを実施。地元の車両整備工場とも連携し、車両本体の整備も支援する。
なお、内閣官房日本経済再生総合事務局は、自動運転車両の利用を検討する企業や自治体による利活用を目的に、各地域の走行環境や条件のパターンを整理した「地域移動サービスにおける自動運転導入に向けた走行環境条件の設定のパターン化参照モデル(2020 年モデル)」を、2019年12月25日に策定。SBドライブでは、同モデルにおいて境町と類似した環境や条件における自動運転サービス導入のモデルケースを作り、他自治体の参考になることを目指すという。
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