ビョークとマイクロソフト、AIで空の様子に応じて変化する音楽を実現--聴いてみた - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年01月27日 07時30分

 Kórsafnは美しくて、穏やかだ。率直に言うと、背景にすっと溶け込んでしまう。激しい部分はないが、ホテルによく似合っている。その点で、うっとりするような感じがある。アーティストのMel Chin氏が2018年にタイムズスクエアで披露した「HoloLens」を使用する体験のような、Microsoftの拡張現実(AR)の作品とは異なり、これは多くの準備や条件(または失敗)を必要としない。Kórsafnはただそこにあり、何もしなくていい。

 1時間聴き続けても、うっとうしくなったり、繰り返しばかりで飽きたと思うことはなかった。

 Microsoftで戦略的パートナーシップ担当ディレクターを務めるAmy Sorokas氏は、Brian EnoからMuseまで、さまざまなアーティストについて、Microsoftのテクノロジーを使用してミュージカルアートプロジェクトの制作を支援している。Sorokas氏によると、コンピュータービジョンを使ってホテル屋上のカメラの映像を分析し、リアルタイムで更新されるAIは、「積雲や雨雲といったさまざまな種類の雲や鳥、鳥の群れ、1羽の鳥、飛行機などを見つけることができる」という。「われわれは今、このビジョンサービスを継続的に訓練していて、時間の経過と共に、AIが屋上のカメラとフィードから学習することができるようにしている。継続的な訓練が可能なので、雲や変化する季節について、もっと学習するようになる。したがって、来年、冬が訪れたら、AIは『また冬がやって来た』とか、雲にはこのような形や種類があり、太陽はこの時間帯に姿を見せる、といったことに気づくだろう。AIの知識レベルの変化に応じて、学習成果を反映したさまざまな構成が生成される」(同氏)

 構成される楽曲は合唱の形態で、さまざまな音源から取得され、オーディオマップのように、カメラがとらえたものに適用される。天窓のないロビーに座っている筆者は、今、急に音程が上がったのは、何かが空を通ったからだろうか、と思いを馳せる。鳥だろうか。

 妙なことに、筆者はリビングルームで読書中にこのような音楽が聴けたらいいのにと思った。または、移動中や仕事中、通勤の最中に、常に変化するAI駆動型の音楽をヘッドホンで聴いてみたい。Kórsafnを聴いてみたい人のために、Sister Cityホテルは、屋上のカメラと接続されたサウンドトラックのフィードをライブストリーミング配信している。

 あるいは、実際に訪問してみてもいいだろう。筆者は、いつの日か、ニュージャージー州での通勤中に、自分の生活に基づいて生成された音楽を聴けるようになることを楽しみにしている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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