インターネットの黎明期、1995年にMarc Andreessen氏は、飛ぶ鳥を落とす勢いの自身の企業Netscape Communicationsが、すぐにも「Windows」を「デバッグが不十分なデバイスドライバの寄せ集め」にしてしまうだろうと予言したのは有名な話だ。
だがなんと、Netscapeはとうに消滅し、Andreessen氏の大胆な主張はインターネット上の単なる伝説と化した。だが、この予言はある意味、実現したとも言える。
第1次ウェブブラウザ戦争の戦士たちが予想もしなかったことには、Netscapeはウェブブラウザ市場を支配しなかった。Microsoftもその栄誉に浴することはなかった。その代わりに25年後、Googleのブラウザ「Chrome」がインターネットで情報を公開するための事実上の標準になった。
そのすべてが、2020年1月15日を物語っている。この日、Microsoftは数十年使ってきたレンダリングエンジン「Trident」(とその後継エンジン、不運な「EdgeHTML」)をオープンソースプロジェクトの「Chromium」ベースのエンジンに正式に置き換えた。
独自のブラウザエンジンを放棄し、Googleが管理するオープンソースのエンジンを受け入れるというMicrosoftの決定は、降伏と見なすこともできる。だがこれは、良くも悪くも、最近オープン標準がいかに受け入れられているかを示す例でもある。
かつてはW3Cのような独立した標準団体がウェブを取り仕切り、競合するブラウザはその標準に従う必要があった。今の「標準」はシンプルだ。「そのページはChromeで表示できるか?」
その結果、「new Edge」(Microsoftは2015年からWindows 10の一部として提供してきた旧バージョンのEdgeブラウザと区別するためにこう呼ぶ)の最初の製品版は、可能な限り完全にGoogleのChromeブラウザに似せたものになった。
Microsoftのエンジニアがしっかり仕事をしていれば、Macだろうと、どのバージョンのWindows搭載のPCだろうと、new Edgeでどんなウェブサイトでも開けるし、Chromeブラウザで表示するのと完全に同じように表示できるだろう。
私はnew Edgeのベータ版を数カ月間ずっと使い、ここ数日は正式版をプレビューしていた。その結果言えることは、その目標は達成されたということだ。2つのブラウザは同じ成熟したコードベースに基づいているのだから、驚くことでもないだろう。だが、正式版の最初のバージョンが79というソフトウェアプロジェクトは珍しい。
実際、new Edgeの開発プロセスがあまりに順調だったので、今回記事を書こうとして、new Edgeについてユーザーが知っておくべきことはこれまでのベータ版に関する記事で既にほとんど書いてしまったことに気づいたくらいだ。
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