パナソニック 代表取締役社長の津賀一宏氏は1月7日から、米ネバタ州ラスベガスで開催されている「CES 2020」の会場において、日本の報道関係者の取材に応じ、「北米で、もう一度、家電事業をやり直す時期がやってきたと思っている。北米で新たな家電製品を再び出していく可能性がある」などとコメントし、BtoBにシフトしていた北米での事業戦略の見直しを行う考えを示した。
また、CES 2020の出展の狙いについては、「今回のパナソニックの展示では、かなりの部分で協業を前提としたものになっている」と発言。「だが、2020年の延長線上に、2021年の展示があるというようには考えない」などとし、2021年の出展については、新たな姿勢で臨む考えをみせた。なお取材は、CES 2020のパナソニックブースにおいて行われた。
――今回のCES 2020の会場を視察してどう感じましたか。
LVCC(ラスベガスコンベンションセンター)のセントラルホールを中心としたメインエリアは、大企業の出展が中心であり、悪くいえば、例年と代わり映えがしません。もちろん、各社とも工夫を凝らしており、進化しているのは間違いありませんが、驚くほどの進化はない。それは、パナソニックも同じ。しかしSands Expoでは、数多くのスタートアップ企業が出展し、その活性ぶり、発展ぶりには目を見張るものがあります。これには驚きました。
パナソニックもメインエリアとは別に、Sands Expoにもブースを構え、「100BANCH」の取り組みなどを紹介しています。来場者にとって、大企業とスタートアップ企業の対比がどう映るかが気になるところです。大企業は、金にモノを言わせて(笑)、数々の技術や製品を展示できますが、スタートアップ企業が持つ、新たなものに取り組むという姿勢も大切であり、それがCES 2020の特徴になっていると思います。Sands Expoの展示はCES 2020の目玉のひとつになっています。
自動車の領域については、デトロイトモーターショーの時期がずれたこともあり、多くの自動車メーカーが出展していますが、そのトレンドは驚くものではありません。一方で、体験型の展示が増加していますが、体験とは、顧客がモノやサービスを使うための接点であり重要であると考えています。
パナソニックは、アナログでの顧客との接点はうまく作れていますが、デジタルによる顧客接点に課題が残ります。デジタルにおいて、どのような見せ方をするのかを考えていかなくてはなりません。SAPから馬場さん(馬場渉)に来てもらったり、グーグルから松岡さん(松岡陽子氏)に来てもらったりして、デジタルでの接点を変えていこうとしています。アナログの接点の強さに、デジタルの接点を足すことで、エクスペリエンスに強い企業になりたいと考えています。
――CES 2020において、パナソニックはどんな成果を求めていますか。
もともとCESは家電見本市であり、その中心にデジタルテレビがあった時代が長かった。しかし、私が社長に就任した時期に、パナソニックはプラズマテレビから撤退し、CESの場を家電見本市としてではなく、パナソニックが持っているテクノロジーを使って、BtoBを含めてどう貢献できるのかというように、パナソニックのポテンシャルを示す場に変えてきました。
その取り組みにおいては、協業が不可欠であり、今回のパナソニックの展示においても、かなりの部分で協業を前提としたものになっています。また、米国での展示会であり、米国で作り込んだ事業やコンテンツを前面に打ち出しています。スマートモビリティもそのひとつであり、日本からはほとんどタッチしていない取り組みです。そのため、日本の展示会とはまったく違うパナソニックの側面を見せています。
ただ、Sands Expoでの展示の盛り上がりを見ると、2021年以降、どういう形にしていくのかは考えなくてはならない。2020年の延長線上に、2021年の展示があるというようには考えていません。
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