後払い決済サービスを手がけるネットプロテクションズは11月27日、同社の主要プロダクトである「NP後払い」のアップデートを発表した。
NP後払いは、年間流通総額2500億円を超え、2018年度の年間ユニークユーザー数は1350万人に到達。クレジットヒストリーを介さずに、独自データから与信するため、クレジットカードが使えないユーザーや、不正利用の観点からクレジットカードを避けるユーザーから支持されているという。後払い決済市場は、国内で5000億円程度あり、ネットプロテクションズが50%以上のシェアを占める。
今回のアップデートでは、システムを大幅に刷新。与信時のデータ収集や分析に用いる機械学習については、従来の決定木に加えてディープラーニングを採用。同社が持つ1.8億件以上のトランザクションデータについても、商品明細情報なども活用できるようになったことで、与信の精度が大幅に向上。加盟店との連携で取得した個別取引情報、外部公開されている空室情報(LIFULLが提供)、不正利用情報などもシステム側で与信判断に取り込めるという。
また、システムの無停止化を目的に、プラットフォームをAWSに移行。採用店舗の大型セールなど、急激なトランザクション増でも柔軟に対応できるようになったという。さらに、マイクロサービス化を施すことで、与信システムのデータソース拡張や、機能追加が可能になったほか、サービスを稼働させたままでの保守点検などにも対応した。
これにより、今まで5分ほどかかっていた与信時間を即時に実行できるようになり、ECサイトなどでの即時出荷に対応。与信判断でNGが出てしまった際の商品在庫管理の手間も抑えられる。さらに、「支払いは問題ないものの与信枠の上限に達していた」や、「いつもは遅延がないもののうっかり支払いを忘れてしまったことがある」など、不正使用以外の理由で与信が通らなかったユーザーにも与信を通すことができるとしている。
同社では、スマートフォン向けの後払いサービス「atone」や、BtoB向けの「NP掛け払い」、台湾でサービス開始した「AFTEE」など、これまでサービスごとに管理していたデータを一元化。問い合わせ履歴や支払い履歴、購入・利用パターンといった内部データ。民間や公的アライアンス、加盟店データ、パブリックデータといった外部データ。これに取引属性、不正検知データを掛け合わせた「Data Lake」構想を発表。クレジットなど金融サービスにアクセスできないユーザーにも、後払い以外の幅広い金融サービス展開が可能になるとしている。
ネットプロテクションズ代表取締役社長の柴田紳氏は、「今日本を支えているインフラは数十年前のもので、決済にも同じことが言える。社会を支えるプラットフォームではあるものの、このまま乗っかり続けるのではなく次の仕組みを考える必要がある」と、新しい金融システムの可能性を述べた。また、同社取締役CTOの鈴木史朗氏は、「(ユーザーを)疑ってものを進めるのはそぐわない。信頼でシステム構築をしていく。ショッピングは、店舗や購入者含めて体験がスムーズでないといけない」と、不正検知など対策しつつ、シームレスなユーザー体験を後払い決済でも提供する必要性を説いた。
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