LINE Fukuokaは11月14日、スマートシティに関する初のカンファレンス「LINE SMART CITY DAY FUKUOKA 2019」を開催。この中で、4月からテスト版が公開されていた「避難行動支援」の全機能が提供されることが発表された。
避難行動支援システムとは、福岡のLINE公式アカウントに登録しておくと、「平常時」と「災害時」それぞれで防災情報が受け取れるサービス。平常時モードでは、現在の警報・注意報や近隣の避難所情報、ハザードマップなどが確認可能。これらを利用し、家族や友人とあらかじめ災害時の行動を話し合うことができる。また、福岡市のLINE公式アカウントに搭載されている「防災情報の発信」機能などと合わせ、平常時からの備えをサポートする。
災害時モードは、地震や豪雨の発生など、福岡市の防災・危機管理課から避難指示や勧告などが出た際に切り替わるもの。事前に、福岡市公式アカウントからの防災情報を受け取る設定にしておくことで、災害時にチャットボットが自動で通知を配信。屋内・屋外・乗り物内を起点に、住宅地、オフィスビル、海岸、山などを選択していくことで、そのシーンにあった避難行動を提示する。
さらに、現在地を送信することで、周囲1km圏内の避難所を表示。避難所を選択することでGoogleマップが立ち上がり、ルートを案内する。また、ユーザー自身が避難を開始したことを家族や友人に伝える(選択した避難所を共有)ことができるほか、福岡市が活用を進めている防災アプリ「ツナガル+」への誘導も可能。被災後には、LINEから街の被害状況や不具合を通報でき、迅速な復旧をサポートするサービスとなっている。
今回の発表で改善されたのは主に3つ。「避難場所の表示方法」「避難場所の対応している災害の表示」「インタラクティブなメッセージ表示」だ。改善前は指定避難場所(学校、体育館、公民館など)しか表示されなかったが、今後は指定緊急避難場所(学校のグラウンド、公園など)も追加され、ユーザーが指定した位置から近い順に表示される。
加えてそれぞれの避難場所が、どのような震災に対応しており、どのような設備があるのか表示されるようになった。また、これまでは複数のメッセージが矢継ぎ早に送られてきたが、情報の見逃しを防ぐためにユーザーのアクションを受けてから順にメッセージが送られるようになる。
LINE Fukuokaに限らず、LINEが全国の自治体と組んで防災に関する取り組みの事例を公共政策室室長の福島直央氏が紹介した。例えば災害が起きた際、腰の重い人に避難を促すために家族のグループで防災情報の共有を進めている地区もある。行政からの指示では動かなくても、家族からの声かけであれば動いてくれるだろうという狙いだ。
他にもこれまで119番で集めていた災害情報を、LINEの公式アカウントから報告できるようにしている地区もある。これにより災害から15分ほどで市民から被災情報が集まり、優先的に被害が大きい地域に救助隊を向かわせられるなど、行政側で迅速かつ適切な対応ができるなどのメリットがあるとしている。
さらに、各防災情報を知りたい市民に向けて、千葉県、長野県、福島県、茨城県などが防災チャットボットを提供。被災者が欲している情報を24時間提供することが可能になった。
LINEがそれほどまでに防災サービスに注力している理由として、LINE自体が東日本大震災をきっかけに誕生したからだと福島氏は語った。東日本大震災の時に電話もメールも繋がらなかったため、震災時でも連絡がとれるメッセージアプリとして生まれたのがLINEだ。
カンファレンスには全国の自治体が参加しており、自治体向けの個別相談会も開催された。LINE公式アカウントの開設についてや、具体的な活用方法にいたるまで様々な相談が寄せられたようだ。
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