自律走行と自動追従機能を複合した移動ソリューション「ROBOLUTION」を開発する大阪のロボットベンチャー企業ロボリューションは、人搭乗型モビリティ、荷物運搬型モビリティ、自律走行誘導ロボットの3機種について、走行デモを含む発表会を実施した。
使用シーンや用途に合わせて複数台を連結、自律走行でき、単体での操縦と運用も可能という汎用性の高さがポイントで、2025年の大阪万博での運用を見据えつつ、空港やショッピングモールなどで実地検証を進めていくとしている。
人搭乗型モビリティの「ROBOLUTION 01」は、人や誘導ロボットに追従して自動走行し、ボタン一つで操縦モードに切り替わる。ただ移動するのではなく、快適さや楽しさなども提供できるよう椅子のデザインにこだわり、ヘッド部分に高音質のスピーカーも搭載している。見た目は大型だが狭いところでもスムーズに走行でき、モーター音などもほぼ出ない。
荷物運搬型の「ROBOLUTION 02」は、自動追従モビリティを開発するDoog(ドーグ)が手がける運搬ロボット「サウザー」をベースにしており、01と同じく追従と操縦モードが切り替えられる。
誘導ロボットの「ROBOLUTION 03」は、Fetch Robotics(フェッチ・ロボティックス)の可搬自走ロボット「Freight(フレイト)」をベースに開発され、レーザーセンサーで空間マッピングした走行ルートをワンタッチで指定できる。両機とも機動性があり、人や障害物を感知して停止し、再びルートを計算して目的地まで自動でたどり着くことができる。
それぞれに追従機能があるため、何台でも連結可能で順番も自在に組み合わせられる。デジタルサイネージ、エンターテイメントに応用したり、スピードもかなり出せることから、距離がある施設内を移動するパーソナルモビリティとしても十分に機能するという。3機種の開発には約3年かかったそうだが、すでに04、05の2機種の開発を進めており、完成次第発表される予定だという。
ロボリューション代表取締役でロボットシステムプロデュースを担当する小西康晴氏は、村田製作所のムラタセイコちゃんなど複数の企業でロボットの開発プロデュースに関わった経験があり、「これまでのロボット開発はエンジニアリングありきでのスタートが多かったが、ROBOLUTIONでは機能価値と感性価値の両方を重視し、異なるジャンルで活躍するメンバー9名で開発を進めている」と話す。
前出のDoogやロボット制御ソフトを制作するX-mov Japanといったロボット関連企業だけでなく、プロダクトや空間デザイン、サウンドクリエイターらが参加。さらに「ラブライブ!」などで活躍する声優の飯田里穂さんなどがアイデアを出し合い、新たな空間付加価値が提供できるビジネスモデルを開発しようとしている。
「移動だけならすでに大手がたくさん手がけている。後発である我々はもっと柔軟な発想で、例えば施設を設計する段階から参加するなど、取り組み方についてもいろいろなチャレンジをしたい」(小西氏)。
同社は様々なロボット開発関係者が参加するシンクタンクi-RooBO ネットワーク フォーラムに参加しており、今後は、その活動拠点である大阪南港ATCを実験フィールドにしたテスト運用をはじめ、プロジェクトに参加するメンバーや協力先を探していくとしている。
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