ソニー、ゲームが落ち込み見せるもイメージセンサーが大幅増収--グループ内アニメ事業協業へ

 ソニーは10月30日、2020年3月期第2四半期(7~9月)の連結業績を発表した。好調に推移してきたゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野が落ち込みを見せたが、イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野でイメージセンサーの大幅な増収増益となり、売上高は前年同期比3%減の2兆1223億円、営業利益は同16%増の2790億円で、減収増益となった。税引前利益は同6%増の2621億円、四半期純利益は同9%増の1879億円になる。

2019年度2Q連結業績
2019年度2Q連結業績

 G&NS分野では、PlayStation 4用ゲームソフト「Marvel's Spider-Man」が大ヒットとなった前年に比べ、売上高が同17%減の4544億円、営業利益が256億円減の650億円と大幅な減収減益となった。通期見通しも7月発表時点から、売上高2兆円(前回発表会時は2兆2000億円)、営業利益が2400億円(同2800億円)と下方修正しており、ソニー 専務CFOの十時裕樹氏は「自社制作ソフト『The Last of Us Part II』の発売時期を2020年2月から5月へと延期したため、業績への貢献がなくなったがことが要因」とした。

ソニー 専務CFOの十時裕樹氏
ソニー 専務CFOの十時裕樹氏
2019年度2Qセグメント別業績
2019年度2Qセグメント別業績

 2020年の年末商戦期での発売が明らかになった「プレイステーション 5」(PS5)については「開発は計画通り進んでいる。PS4を楽しんで頂いているユーザーはもちろん、潜在的なゲームファンの期待を裏切らないゲーム体験をお届けできる仕上がりになりつつある」と報告した。

 一方で、コンテンツ配信については、定額制クラウドゲームサービス「PlayStation Now」を10月に刷新したことに触れ、「戦略的な価格の改定や人気タイトルの期間限定追加など、サービスを進化させた。リニューアル以降、会員数は増加しており、10月で100万人を超えた。大変良い滑り出しとなった」と現状について紹介。一方で、インターネット有料テレビサービス「プレイステーション・ヴュー(PSヴュー)」については、2020年1月末にサービスを終了する方針で「視聴スタイルの多様化により、有料テレビサービスの競争が激化した。事業環境の改善が見込みにくい」と理由を話した。

 音楽分野はEMIの連結子会社化による音楽出版の増収などを受け、売上高が同8%増の2193億円、営業利益が同60億円増の375億円。映画分野は、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」での劇場興行収入増加により、売上高が同8%増の2606億円、営業利益が158億円大幅増益の393億円となった。

 音楽・映画分野では、アニメ事業についても言及。「日本のアニメ事業で成功を収め、海外でのコンテンツ配信にも進出している。2017年にはソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントが、米国の大手配給配信会社ファニメーションプロダクションズを買収。この領域を一層強化するため、ソニーグループ傘下のアニメ配信関連プラットフォームを統合することにした。加えて、プラットフォームの魅力を高めるため、ソニー・ミュージックエンタテインメント傘下のアニプレックスも参画し、大ヒットモバイルゲーム『Fate/Grand Order』を題材とした、初のアニメシリーズを先行独占配信するなど、グループ内の連携を強化し、事業を推進していく」と今後の展開を話した。

アニメ事業における協業
アニメ事業における協業

 一方、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野は、スマートフォンとテレビの販売台数減により、売上高が同11%減の4935億円となったものの、モバイル・コミュニケーションにおけるオペレーション費用の削減などにより営業利益は249億円大幅増益の414億円を記録。

 テレビについては「販売台数は前年同期より減少しているが、大画面、高付加価値モデルへの集中や在庫コントロールに注力し、平均販売価格を保っている。今後も収益確保を優先した製品オペレーションとコストコントロールを徹底する」と方針を示す。

 モバイル機器向けイメージセンサーが大幅な増収となったイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野は、売上高が22%増の3107億円、営業利益が285億円大幅増益の764億円となった。牽引するイメージセンサーは、長崎テクノロジーセンターに増設棟の建設を決定しており、ウェーハの生産能力を月産13万枚から13万8000枚にまで引き上げる計画だ。

イメージング&センシング・ソリューション分野 増産対応のための成長投資
イメージング&センシング・ソリューション分野 増産対応のための成長投資

 十時氏は「イメージセンサーは目。AIのようなものと組み合わせていろいろなソリューションに使えることを期待している。当面はモバイル向けに展開していくが、将来的なさまざまなIoT用途に使われると考えており、最終的には自動運転のようなアプリケーションに使われると期待している」と今後を見据える。

 ソニーでは、2020年3月期通期での連結業績を、売上高8兆4000億円(7月時点では8兆6000億円)と下方修正したが、営業利益は8400億円(同8100億円)、税引前利益は8000億円(同7700億円)、当期純利益は5400億円(同5000億円)としている。

2019年度連結業績見通し
2019年度連結業績見通し

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