大型で強い台風19号が関東全域を中心に上陸中だ。携帯キャリア各社では、災害用無償Wi-Fi「00000JAPAN」や災害用伝言板を提供している。本記事では、これに加えて防災アプリやバッテリーをより長持ちさせるための設定など、スマートフォンでできる災害対策をまとめておく。
まず最も必要なのが通信手段だが、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの各携帯電話キャリアは、災害用無償Wi-Fi「00000JAPAN」を10月11日より開放している。コンビニやカフェ、ファストフード店、レストラン、公共交通機関などで提供されているWi-Fiスポットが開放され、各社のユーザーでなくとも、スマートフォンやタブレット、PCなどWi-Fi対応端末があれば、ネットワーク名「00000JAPAN」を選択することで、インターネット接続が利用可能となる。
なお、「00000JAPAN」は、緊急時の利便性確保を優先としており、通信が暗号化されていない。そのため、同スポットを使った通信では、ネットバンキングやネットショッピングは推奨していないものの、どうしてもセキュアな環境での通信が必要な場合は、VPNなどを利用するように呼びかけている。
携帯キャリア各社は災害用伝言板を提供(各リンク:NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)している。自身が使うキャリアの伝言板に安否情報を書き込み、親族などがウェブサイトにアクセスして電話番号を入力することで、メッセージを受け取ることができる。
また、3社は「災害用音声お届けサービス」も提供(各リンク:NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)しており、音声メッセージをセンターに登録後、指定した電話番号にSMSで配信。SMSを受け取ったユーザーはセンターに接続して音声を聞くことができる。電話回線を使わないため、Wi-Fiでも利用できるほか、キャリアを問わず送受信可能だ。
さらに、Googleでは安否情報サービスとして「パーソンファインダー」を提供している。こちらも伝言板と似た機能だが、電話番号以外にも名前だけで登録・検索が可能。本人以外の情報を登録できるほか、現在地や写真といった情報を添付できるのはGoogleならではだ。さらに、Google Mapにアクセスすると下に台風19号に関するカードが出現。詳細をクリックすると、最新の台風情報とニュースを一覧で表示できる。Facebookも各地の状況などを共有できる災害支援ハブを提供する。
ヤフーでは災害情報を通知するアプリとして「Yahoo!防災速報」を提供している。これは、緊急地震速報や豪雨予報など、さまざまな災害情報をプッシュ通知するもの。現在地点以外にも、自宅や会社付近に設定した地域の災害情報を受け取ることができる。また、自治体が避難勧告などの避難情報を発令・解除した際もリアルタイムで通知する。
さらに11日には、新機能「災害マップ」を提供。ユーザー周辺の状況を投稿することができ、自治体や気象庁から発信される情報に加えて、ユーザーの投稿を地図上から確認できる。土砂災害や河川洪水の危険情報も合わせて確認できるとしている。また、災害状況に関するユーザーの投稿数が所定の条件を満たし、以上が発生していると判定された場合は、プッシュ通知が届くように設定することも可能だ。
東京都も公式の防災アプリを提供している。こちらは、都内に限定されるが災害状況から避難状況のプッシュ通知、ユーザーが選択した場所の危険度や防災施設、災害時給水ポイント、災害時帰宅支援ステーションなどを掲載した防災マップを搭載。マップはオフラインでも利用できる(アプリから区別にダウンロードが必要)ため、通信が途絶えた環境でもスマートフォンさえ電源が入れば目的地まで移動することができる。
さらに、防災に関する知識を学べる「東京防災」、日々の暮らしから防災を学ぶ「東京くらし防災」と、防災のためのコンテンツも内蔵。避難の流れや緊急時の応急処置のほか、「もしもマニュアル」には、「簡易トイレの作り方」「簡易コンロの作り方」「食器の作り方」「ロープの結び方」などをイラスト付きで解説している。また、訪日外国人とのコミュニケーションに備え、英語、中国語、韓国語の会話集も収録されている。こちらは、誰でも閲覧可能だ。
Twitterで迅速な災害情報を提供する「特務機関NERV」も、ゲヒルンと共同で「特務機関NERV防災アプリ」を提供している。天気や台風の予報、雨雲レーダー、地震・津波・噴火の速報、特別警報や土砂災害の情報、河川の情報、大雨危険度通知、さらにはJアラート(国民保護情報)やダム放流通知にいたるまで防災情報を受信できるという。タイムラインを備えており、いつ注意報や警報が発令されたかなどを時系列で把握することができる。シンプルなUIも特徴だ。
もちろんこうしたサービスを利用するためには、スマートフォンが使える状態にあることが前提となる。可能であれば、今からでもスマートフォンやモバイルバッテリーなどを満充電にしておくほうが好ましいだろう。
もし、バッテリー残量が少なくなっていたり、充電できる環境がない場合は、省電力モードに移行することをおすすめする。iPhoneでは、「設定」→「バッテリー」から「低電力モード」を選択。Androidでは、画面上部のステータスバーをスワイプし、「バッテリーセーバー」のアイコンをタップすると有効にできる。端末メーカーによっては独自の省電力モードを備えているほか、緊急時用の節電モードとして「最大省電力モード:サムスン」「緊急省電力モード:ソニー」「ウルトラ省電力モード:ファーウェイ」などを備えている場合もある。
また、NTTドコモが販売する一部のAndroid端末では、通話やメール、災害時アプリ以外の起動を制限して最大限バッテリー消費を抑制する「非常用節電モード」を搭載する。
低電力モードやバッテリーセーバーでは、音声アシスタントやアプリのバックグラウンド更新、自動ダウンロードなどが無効になる。バッテリーセーバーでは通知も無効になるが、低電力モードでは、特に制限はない。よりバッテリー持ちを良くしたいのであれば、LINEなどのメッセージングアプリや防災アプリを除いて通知をオフにしておくのが良いだろう。また、圏外地域では機内モード(Wi-FiやBluetoothは有効にできる)にしておくことをおすすめする。基地局を探索するためバッテリーの消費が激しくなるからだ。
そのほか、ディスプレイの輝度もバッテリー持ちに影響する。基本的にはディスプレイの明るさを落とせば良いが、iPhoneの場合は環境に合わせて輝度を自動で調整するため、いつの間にか明るくなっている場合もある。もし、自動調整を切りたい場合は、「設定」→「一般」→「アクセシビリティ」→「ディスプレイ調整」→「明るさの自動調節」から機能をオフにできる。
携帯各社では、移動基地局車や可搬型基地局、移動電源車、可搬型発電機、可搬型衛星アンテナなどの復旧に必要な機材を、台風の影響を受ける可能性が高い地域への配備を進めている。また、ドコモショップでは マルチチャージャー(災害用充電機)と蓄電池を配備しており、停電時にも無料充電サービスを提供するという。しかし、停電が長期化した場合などはスマートフォンの利用にも限界が出てくる。こうした場合に備えて、乾電池で動作し、携帯回線を使わずに情報が得られるラジオも用意しておいたほうが良いだろう。
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