パーソル総合研究所は、「中間管理職の就業負担に関する定量調査」と題した調査結果を、10月3日付で公表した。
この調査は、働き方改革が進む一方で、中間管理職の負担感が増していることを受け、企業経営に資する定量的なデータを提供することを目的に実施したものという。なお、この調査の対象とした中間管理職は、現場に一番近いファーストライン(第一階層)の管理職。調査時期は2~3月、全国の企業の中間管理職2000人と、企業の人事部に所属する従業員300人を対象として、インターネットを通じて実施した。
働き方改革が進んでいる企業群では、中間管理職自らの業務量が増加したとの回答割合が62.1%で、進んでいない企業群では48.2%、全企業の平均52.5%よりも上回っている。
そして、中間管理職本人が課題と感じている割合が高かったのは、人手不足(57.5%)、後任者不足(56.2%)、自身の業務量の増加(52.5%)となった一方、中間管理職が抱えている課題だと人事が考える割合が高かったのは、働き方改革への対応の増加(52%)ハラスメントの対応の増加(42.7%)、コンプライアンスの対応の増加(38.7%)となった。
中間管理職本人は人材や時間の不足を感じているが、人事の意識は法やリスクへの対応に偏っていると、中間管理職が抱える業務上の課題について、中間管理職本人と人事の認識には食い違いがあると指摘する。さらに中間管理職への支援について、人事の約4分の1(24.0%)が「特に行っていない」としている。
同研究所では、本来は働き方というプロセス全般の見直しが必要であるところ、多くの企業で進んでいる働き方改革には労働時間の削減が目的となり、さらにそれが非管理職の労働時間の削減へと矮小化。単に労働時間に上限を設けることが主流の現在の働き方改革では、逆に中間管理職の業務量の負担が増してしまうことが調査データから示唆されているとし、働き方改革については関連法案への対応フェーズから、業務プロセスの効率化や組織風土改革など、より抜本的な改善フェーズに進むことが求められていると指摘する。
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